日本一速い男、星野一義の副業ビジネス成功例 創業40年以上、インパル創業から現在と未来

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星野氏は、「話は何度かあったけれど、うちはユニクロやドンキホーテのようにはなれないと思い、断った」という。いずれも、幅広いアイテム数を誇り、比較的安価な製品を販売することで成長してきた企業だ。星野氏は、そういったマスプロダクト的スタイルは自社の資金力なども含めて、体力的に難しいと判断したという。ホシノインパルは、あくまで日産車に特化するという独自性や、アイテム数を絞って高価でもユーザーに納得してもらえる製品を重視する。そういった星野氏の経営哲学やビジネススタイルが、これまで多くのユーザーに支持を得て、ブランド力を高めてきた理由のひとつなのだろう。

42年目を迎える2021年の挑戦

2020年6月で40周年、2021年6月からは42年目を迎えるホシノインパルは、久々に新作をリリースした。セダンモデルながら405psもの最高出力が話題となっている「スカイライン400R」をはじめ、コンパクトSUVの「キックス」、軽自動車の「ルークス」といった、日産の新型車向け各エアロパーツだ。これら製品は、各ベース車両のキャラクターやユーザー層に応じて、作り方などを変えているのも特徴だ。

同社のフラッグシップ的な位置付けとなるスカイライン400R用エアロ「インパル537S」の場合は、例えば純正フロントバンパーすべてを交換するフルバンパータイプを採用する。これは、スポーツ性が高く、車体価格も562万5400円と高価なスカイライン400Rでは、よりインパル製品らしさを追求し、ユーザーが納得できるような攻撃的デザインを採用するためだ。材質にも、コストはかかるが成形の自由度が高いFRPを採用した。そのぶん、価格も高く、前後バンパーとドア下部の車体に装着するサイドステップのセットで39万6000円(税込)だ。

一方、ベース車両が141万5700円から購入できるルークスや、車体本体の価格設定が275万9900円から選べるキックスに向けたエアロでは、例えばフロントに純正バンパーへ装着するアンダースポイラーというタイプを採用する。ノーマル部品を取り外さず比較的容易に装着ができるため、近年人気のスタイルだ。ただし、純正フォルムとの差別化があまりできないのが難点。そこで、例えばルークス用エアロでは、ヘッドライト下ボディ面の左右に装着するフロントフェイスガーニッシュやボンネット前方に装着するボンネットフィンなども用意することで、より自社ブランドのイメージを強調する工夫を施している。

スカイライン400R用エアロ「インパル537S」(筆者撮影)
インパル製エアロを装着したキックス(筆者撮影)
インパル製エアロを装着したルークス(筆者撮影)
次ページ車種やニーズを汲み取ったパーツ開発の裏側
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