日本一速い男、星野一義の副業ビジネス成功例 創業40年以上、インパル創業から現在と未来

拡大
縮小

ホシノインパルの製品が、長年ユーザーに愛され続けている理由は幾つかあるが、まずは質感や品質へのこだわりだ。星野氏は「インパルらしいスポーティさを出しながらも、ベース車のフォルムにマッチしたデザインを心掛けている」と語る。これは、例えば、製品に光が当たった際、純正ボディの面と違和感が出ないようにすることで、後付け感が出ない自然さなどを意味する。

また、「加工不要でボルトオン装着ができるなど、品質のよさも重要」だという。同社製品は、日産ディーラーで誰でも購入できる。つまり、自動車メーカーが出す純正オプションと同等の扱いなのだ。それだけに、各パーツの品質や信頼性などは、より重要なファクターとなる。

さらに、レース活動とビジネスを両立させるスタイルを長年貫き、レースで得たノウハウを製品にフィードバックし続けることで、デザインと空力などの機能を両立させている点も、製品のキャラクターを際立たせている要因だ。ちなみに、星野氏は、ホシノインパル創立直後の1983年に自らのレーシングチーム「ホシノレーシング」も設立し、レース活動の母体としてきた。惜しまれつつも現役引退した2002年以降も、スーパーGTやスーパーフォーミュラといった国内最高峰レースにチーム監督として参戦。現在は、若手ドライバーやレーススタッフの育成などにも精力的だ。

2020年度のスーパーGT GT500クラスで8位入賞(写真:日産自動車)
2021年度のカルソニックIMPUL GT-R(スーパーGT)(写真:日産自動車)

 

40年以上続けられた理由

これまでの歴史を語る星野氏(筆者撮影)

星野氏は、取材当時73歳。これまでを振り返り、「どうしてもレースを優先してしまうこともあり、(創業当初は)ビジネスにまったく自信がなかった。今までやってこられたのはスタッフのおかげ」だと語る。現役時代、レース中にみせた激しい闘志や険しい表情とは対象的ともいえる、おだやかな表情だ。

実際に、星野氏のこうした謙虚ともいえる姿勢は、ビジネスのスタイルにも表れている。例えば、先述した日産自動車の市販車に特化した製品を作り続けるなど、現役レーサー時代から縁がある企業に対する「義理堅さ」だ。だが、日産と違う他メーカーの市販車向け製品を出すといった選択肢は、今までなかったのだろうか。

次ページなぜ40年間にわたり日産車にこだわり続けるのか?
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT