日本一速い男、星野一義の副業ビジネス成功例 創業40年以上、インパル創業から現在と未来

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1983年に星野氏が初のインパル製ホイール「D-01シルエット」を履かせてレースに出場したマシン(写真:日産自動車)

転機が訪れたのはリリース3年目の頃。星野氏のレーシングドライバーとしての仕事がきっかけを生む。市販車ベースのレーシングカーで競う「スーパーシルエット」という当時の人気レースで、自身のレース用マシン「S110シルビア」にD-01シルエットを履かせ出場したのだ。一流ドライバー星野氏が乗ったレースマシンと同じホイールが購入できる。以後ファンなどから注文が殺到し、1カ月で約2万本も売れる大ヒットとなる。レースでは耐久性を増すため、ディスク面に補強用のボルトを追加したが、それをそのまま販売したことが「レースと同仕様」ということで話題を呼び、30億円近い売り上げを記録した。

インパルが初めて製作したホイールで、シルビアのレーシングマシンに装着したもの。現在は、ショールーム内でテーブルになっている(筆者撮影)

なお、当時レースで使用された伝説のホイールは、ホシノインパルのショールームを訪れれば、誰でも見るだけでなく、触ることすらできる。なんと、テーブルに形を変えて今でも使われているのだ。もっと厳重に保管されてもおかしくない貴重なホイールだが、そういった点にも星野氏の飾らない人柄が現れていて面白い。

インパルブランドの躍進

レースによるプロモーション効果も功を奏し、D-01シルエットは見事に成功し、アフターパーツ業界におけるホシノインパルの知名度は一気に広がった。以後は、ホイールだけでなく、エアロなどの外装パーツやサスペンション、マフラーなど、数多くのカスタマイズパーツを市場に送り込んでいく。いずれの製品も、星野氏がレースで契約する日産自動車の市販車に特化したことで、レースや日産車のファンを中心に大きな支持を得る。

また、スポーツモデルはもちろん、セダンやミニバン、コンパクトカーや軽自動車など、ほとんどの日産車ラインアップに向けた幅広い製品をリリース。自社製パーツを装着した車両を販売するコンプリートカーの製作にも乗り出す。

なかでも1988年に発売された高級セダンのシーマ(初期型Y31型)向け製品は、ベース車両が当時「シーマ現象」と呼ばれるほど爆発的に売れたこともあり、記録的なヒットとなった。ほかにも、1992年に発売されたコンパクトカーのマーチ(2代目K11型)をベースにしたコンプリートカーは、アメリカ・メージャーリーグで活躍したイチロー選手が乗ったことで、大きなトピックスとなった。

イチローも乗ったことで有名になったK11型マーチ用エアロ(写真:ホシノインパル)
K12型マーチ用のホシノインパルエアロ(写真:ホシノインパル)
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