インターネットを背景に急成長を続けているGAFAは、いずれも若い企業だ。Appleは1970年代に誕生しているが、その他は2000年前後に誕生している。日本にもITとネットによって急成長した若い企業がある。3位楽天(総合43、文系37、理系6)と17位サイバーエージェント(総合6、文系3、理系3)は、1990年代後半のスタートで歴史は20数年と浅い。
楽天は楽天市場、サイバーエージェントはアメーバブログやABEMAで知られているのだろうが、実際は多角的な事業構造を持っている。そして、楽天が有名になった理由はビジネスの成功だけではない。2010年に「英語公用語化」を宣言し、実践したことが大きい。そして楽天は、グローバル企業のイメージをまとった。学生にとっては「語学力採用」に対する関心が強い。
「社内の公用語が英語だから」(文系・中堅私立大)
「グローバルに活躍できる学生が内定をもらえるイメージだから」(文系・早慶大クラス)
キーエンスは“例外的存在”
4位キーエンス(総合30、文系14、理系16)の特色は、他と比べて一般的な知名度の低さだ。TOP20の中では例外的な存在だ。工場自動機器向けのセンサーや計測機器を手がけるBtoBメーカーであり、一般人が手にする製品ではないため、この会社を知っている人は極めて少ない。学生は知っていても、その親は知らないかもしれない。
TOP20にはメーカーが多く、キーエンス以外にも8社ある。業種はさまざまだが、すべて大量にCMを流している、一般消費者にも馴染み深いメーカーばかりである。5位ソニー(総合23、文系10、理系13)、8位味の素(総合16、文系10、理系6)、9位トヨタ自動車(総合15、文系5、理系10)、10位資生堂(総合11、文系5、理系6)、13位富士通(総合8、文系6、理系2)、13位任天堂(総合8、文系4、理系4)、13位旭化成(総合8、文系1、理系7)、20位パナソニック(総合5、文系4、理系1)となっている。
こういう有名企業を押さえて、4位がキーエンスだ。ソニーよりもトヨタ自動車よりも上位である。なぜ学生には知れ渡っているのか? その秘密は給与である。
「年収が高いため優秀な人材が揃っているイメージがある」(文系・早慶大クラス)
就職に関する条件で最もわかりやすいのは「給与」だ。そして、Googleで「日本一給与が高い企業」を検索すると、「キーエンス」が表示される。ただし、昔から有名だったわけではない。キーエンスの知名度がここまで上がったのはここ数年の出来事だ。そして、一度「日本一」という評判が立つと、それが拡大再生産されていくのだと思う。
ソニーについては説明する必要はないだろう。iPodが発売された2001年まで、携帯音楽プレーヤーの代名詞がソニーのウォークマンだった。いまもソニー製品を愛好する人は多いだろうが、1980年代、1990年代までソニー製品には多くの信奉者がいた。Apple創業者でiPhoneの生みの親であるスティーブ・ジョブズもソニー製品の愛好家だった。そういう製品に対する信頼や伝説は今も健在だ。
「私たちにとっても馴染みが深く、優秀なイメージが強い。名前を目にすることが多い」(文系・中堅私立大)
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