中国製造業の景気が回復軌道に戻ってきた。6月1日に発表された2021年5月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は52.0と、前月(51.9)より0.1ポイント上昇。2カ月連続で今年の最高値を記録した。
製造業の需要と供給はそろって拡大しており、そのペースは需要が供給を若干上回っている。5月の新規受注指数は今年の最高値を更新し、輸出の新規受注指数も2020年12月以来の高さに上昇した。
なお、前日に発表された中国国家統計局の調査に基づく製造業PMIは51.0と、前月(51.1)より0.1ポイント低下した。また、関連指数では供給の拡大が加速する一方で需要の伸びが鈍化した。財新の調査とは相反する動きだが、指数の変化はどちらも小さく、調査対象の違いなどによる景況感の濃淡が表われた可能性がある。
インフレへの対応が待ったなし
製造業の雇用指数は4月に4カ月ぶりの拡大基調に転じたものの、5月は勢いを維持できず、縮小基調に逆戻りする一歩手前の水準に低下した。一部の企業は需要拡大に対応して新規採用を増やしているが、(原材料や人件費などの)コストアップを嫌気して採用増をためらう企業も少なくない。
5月の製造業購買価格指数は引き続き上昇し、2017年1月以来の高水準に達した。インフレ圧力が高まるなか、調査対象企業の多くが製品価格の引き上げを通じてコストを顧客に転嫁し始めている。その結果、5月の工場出荷価格指数は2011年3月以来の高さとなった。
「目下の最重要課題はインフレへの対応だ。(金属や化学品など)原材料価格の上昇が続くなか、一部の企業が市場在庫の買い占めに走り、原材料の調達難に陥る企業も出ている。経済活動の秩序に乱れが生じているということであり、対策が求められている」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は6月1日
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