と、ここで終わってもいいのだがまだ続きはある。実は、佐賀県は日本における鉄道発祥の地なのである。1853年、長崎にやってきたロシアのプチャーチンが蒸気機関車の模型を見せてその仕組みを日本人に説いた。
これを手本として、当時の佐賀藩が精錬方に蒸気機関車のミニチュアを製作して走らせることに成功した。1855年のことで、新橋―横浜間の開通よりも実に17年も早い。鉄道模型レベルのミニチュアとはいえ、初めて作られた日本人の手による鉄道は佐賀の地を走ったのである(ちなみにこの蒸気機関車製作に携わった人物に東芝の前身・芝浦製作所創業者の田中久重がいる)。
そして時代が進んで九州にも本格的な鉄道敷設の時代がやってくると、1889年に県内最初の鉄道駅として鳥栖駅が開業する。鹿児島本線の最初の区間が開業したと同時に誕生しており、つまりは九州で最も古い駅の1つ。その2年後には佐賀駅までの鉄路も開通している。ローカルイメージのある佐賀県にして、鉄道においては先進地域だったのだ。
新幹線が走り出す
そんな佐賀県だが、新幹線はなかなかやってこなかった。九州新幹線は鹿児島本線のようにわずかにかすめているだけだから(新鳥栖駅が長崎本線との接続駅)、「新幹線が通っている」と堂々と胸を張れるほどのものではないだろう。
そうした中で、ついに佐賀にも新幹線がやってくる。2022年秋頃の開業が予定される九州新幹線西九州ルート(西九州新幹線)。武雄温泉や嬉野温泉に駅が設けられる予定だ。
この新幹線を巡っては、新鳥栖―武雄温泉間が当初は未開通。建設を巡っては佐賀県の費用負担などについて結論がまとまっておらず先行きは不透明だ。だが、少なくとも福岡と長崎の狭間に鎮座する佐賀県は、鉄道においても改めてその存在感を示そうとしているのである。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら