テレビを見ないが過半数「男20代と女10代」の衝撃

NHK調査でわかった地上波放送の終わりの始まり

※縦軸単位は%(筆者作成)

上記のグラフは、NHK文研がWeb上で提供している調査データを筆者が加工したもの。注目は1日に15分以上、テレビを見る人の割合(テレビの行為者率)だ。グラフは男女別に世代ごとのテレビの行為者率が、1995年から5年おきにどう変化したかを表している。

男女で多少の違いはあるが、2010年までの15年間は男女ともほとんど変化がない。高齢者に比べると若い世代のほうがテレビを見ている人が少ないが、それでも8割以上が毎日テレビを見ている。

しかしNetflixが日本でサービスを開始し、サブスク型のネット動画サービスが本格的に普及し始めた2015年には、若い世代を中心に一気にテレビ離れが進んだ。とくに男性の10代から40代の減り方が激しい。これだけはっきりテレビ離れ現象をとらえた調査はほかにはない。当然、5年後の2020年の調査結果がどう出るか非常に注目された。そして出てきた結果は、テレビ業界の人間には衝撃的だった。

若い世代でテレビを見る人が激減し、男性20代と女性10代では50%を切ったのだ。若い人たちやネットを使い倒している人たちからすれば当然だと思えるだろう。しかしテレビ業界では、まさか半分以下になるとは! そこまでテレビが見られなくなるとは!という衝撃だったはずだ。

スポンサーも考え直す「広告費」の使い方

テレビ局のメシのタネはCM収入だ。しかし巨額の広告費を投入する広告主も、若い世代がこれだけテレビから離れれば、金の使い道を考え直すだろう。YouTubeの広告のほうがいいかもしれない、と。

ではネット動画はどれだけ見られているのか。NHK文研は2020年調査からネット動画の行為者率も調べ始めた。それを加えたのが以下のグラフだ。

(筆者作成)

テレビにはまだ追いつかないが、男女とも10代、20代はテレビに迫る勢いだ。5年後の2025年調査では、おそらく逆転しているだろう。動画を除く趣味・娯楽・教養のネット利用では男性20代、30代、女性20代ですでにテレビより多くの人がネットを利用している。

この調査結果から明らかになったのは、「10代から30代の若い人たちはテレビを見なくなりネット動画を見るようになっている。地上波テレビ放送に執着しているのは60代以上の老人ばかり」という現実だ。その60代以上の高齢者でさえ、ネットを使い始めている。

この時代の変化にテレビ局はどう対応していくのか。メディアがすさまじい勢いでネットに移行していくこの時代に、フェイスブックやツイッターなどのSNSなどを使ったことのない60代以上の高齢者が経営者でいる限り、テレビ局は急激に加速する変化に対応できないのではないか。

もしどこかのキー局の社長を、元Google Japan社長の村上憲郎氏や、Zホールディングス社長の川邊健太郎氏、DeNA会長の南場智子氏、KADOKAWA取締役でドワンゴ社長の夏野剛氏がやったら、どうなるだろう、どんな変化をもたらしてくれるだろうと筆者は夢想してしまう。テレビ局が変化しなければならないのは、今、この瞬間だ。それができない局は、早晩、自然淘汰されるだろう。

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