テレビを見ないが過半数「男20代と女10代」の衝撃 NHK調査でわかった地上波放送の終わりの始まり
テレビ朝日は広告主が必要としている若年層にあまり見られていないのだ。昨年度平均の世帯視聴率では全日(6〜24時)で2位、ゴールデン(19〜22時)で2位、プライム(19〜23時)で1位と絶好調だ。しかし男女13歳から49歳の個人視聴率をみると、全日、ゴールデン、プライムとも4位に転落する。
テレビ朝日の視聴者は高齢者が多いということが広告主にわかってしまったので、世帯視聴率が高くてもテレビ朝日には広告を出さないという広告主が増えたと推測される。
TBSはよくも悪くも変化が少ない。毎期、毎期、翌年度の収入を予測し、それに合わせた制作費予算をたて、それをしっかり守っていく。そんな実直な経営が垣間見える。悪く言えば小さくまとまっていて、リスクをとって勝負に出る勇気がないという印象だ。
制作費を削りつつ、視聴率もぎ取るテレ東
いちばん面白いのがテレビ東京だ。
金額的には他局より圧倒的に少ない制作費なのに、工夫と努力で視聴率をもぎ取っている。テレビ東京の番組プロデューサー数人に話を聞いたが、彼らは自分たちの立ち位置を理解したうえで、高いプライドを持って番組作りに臨んでいる。他局の半分以下の制作費にもかかわらず、そこをなんとかしてやろうという意気込みはほかのキー局には見られないものだ。苦境に立つほど粘り強さを見せる、そんなところが視聴者にも広告主にも評価されている。
最も苦しいのがフジテレビ。この10年間、視聴率の下落でCM収入は下がり続けているのに、番組制作費の削減が追いつかない状況が続いている。2000年代初頭までのフジテレビの絶頂期を知る者には、信じられない凋落ぶりだろう。
むしろ絶対的な成功体験が逆に災いしているのではないだろうか。番組制作費は2011年度からの6年間で4割も減らし、ピークの2009年度から考えるとほぼ半減。全局の中で最も激しい削減となっている。
しかしここ数年、視聴率は下げ止まりの傾向にある。さらにテレビ朝日とは逆で、高齢者も含んだ世帯視聴率では全日・ゴールデン・プライムで4位だが、男女13歳から49歳の個人視聴率では、全日・ゴールデン・プライムとも2位。そこに希望を見いだせそうだ。
各局10年間の変遷で、テレビ局が陥っているかつてないほどの苦しい状況が見えてきたところで、いよいよNHK文研の最新調査結果を見てみたい。
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