社内で反発も!エプソン「紙半減」に本気出す真意 プリンターメーカーなのに超大胆な取り組み
エプソンは、「環境ビジョン2050」を新たに打ち出し、2050年に「カーボンマイナス」と「地下資源消費ゼロ」の達成を目標に掲げた。
ここでは、脱炭素を目指した環境配慮型工場の実現や、資源循環による資源の有効活用、顧客のもとで環境負荷を低減する環境配慮型商品や装置の提供、環境技術開発による商品の長期使用や原料リサイクルに取り組む姿勢をみせる。
もともとエプソンは、環境に高い意識を持ち、それを競争優位性につなげてきた企業だ。同社が事業の主軸に据えるインクジェットプリンターは、レーザープリンターに比べて消費電力が低い。
環境への貢献を含めた競争力を訴求
エプソンの試算によると、約1万台のレーザープリンターをインクジェットプリンターに置き換えた場合、5年間で、41万6000kWhの電力削減ができるという。これは、東京タワーの照明を約1年にわたって灯すことができる電力量だという。
また、エプソンが市場をリードしている大容量インクタンクモデルは、インクカートリッジモデルに比べて、3万ページ印刷時に、消耗品によるCO2排出量は73%も削減できるという。インクジェットプリンターを使用すること、中でも、大容量インクタンクモデルを利用することは環境への貢献にもつながる。エプソンはそうした点でも競争力を訴求できるのだ。
そして、社内での紙半減や、それをベースにした新たなビジネスの創出、使用済みの紙を再生したビジネスも、環境に貢献することになる。
紙半減への取り組みは、環境貢献も理由のひとつだが、エプソンにとっては、ペーパーレス化によって、プリンターメーカーが直面する危機を、チャンスにつなげるために、自ら荒波に飛び込んだようなものだ。
自らの体験を通じて、オフィスで使用される紙が半減しても、成長できる体質づくりへの取り組みが始まっている。
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