証券化商品の信頼回復に情報開示の進展が最重要--アンドリュー・キンボール ムーディーズ エグゼクティブ・バイスプレジデント
--企業の格付けの場合、投資家も公開された財務諸表から企業を分析し、評価できる。これに対して、証券化では、発行体、アレンジャー、格付け会社だけが情報を持ち、ブラックボックスになっているという問題がありました。
非常に重要な問題だと考えている。われわれの格付けはあくまでもセカンドオピニオンであるべきだと考えており、基本的には投資家がそれぞれ判断できる状況にあるべきだと考えている。そのためには、投資家が格付けのモデルにもアクセスでき、証券の裏付けとなる資産の情報にもアクセスできなければならない。しかし、そうするには、ストラクチャード・ファイナンスにおいて共有できる情報は、依然として不十分であり、課題だと感じている。
--その点について、今後どのように改善していきますか。
われわれ自身が提供できる情報の透明性を高めることには過去5年、取り組んでいる。重要なことは、どのような想定(アサンプション)の下で評価を行うかということだ。ストラクチャード・ファイナンスの格付けは、多様な想定の組み合わせで決まっており、その想定の一つが大きく外れると、全体の信用の質に大きな変化が生じてしまう。
景気変動、担保価値の変化など、どのようなストレスシナリオの下で格付けするのかを明示し、主要な不確実性を説明すべきだ。そうすれば投資家が、その想定に賛成できないなら、格付けにも賛成できないということになるし、見通しが外れた場合に、どの部分の想定が間違っていたのかが明らかになる。
情報開示が進むことは最も重要だ。われわれも正しい評価をするということだけでなく、それを世の中に認めてもらい、格付けのプロセスに説得力があると評価してもらうことで、信頼を得たい。