山本:そう、「ダメでもともと」なんですよ。中3なら大学受験の問題が解けなくても当然。失うものがないならやってみようという感じですね。
私は11歳でアメリカに行ったのですが、そのときの体験が、「ザ・挫折」「ザ・敗北感」って感じなんですよ。一言も英語がしゃべれないのに現地校に行かされた。あのときのことを思うと、大抵のことは我慢できる。だから学生にも、「迷ったらつねに大変なほうの道を選べ」と言っています。なんだかすごく前向きな人みたいですけど(笑)。
塩野:山本先生のキャリアに話を戻すと、成蹊大学で9年間、学部生を教えたのなら、学生たちがかわいくなってしまって、離れがたかったのでは?
山本:成蹊大はすごく好きですし、学生たちも大好きなんですけど、慶應ビジネススクールからオファーをいただきまして、今年(2014年)からそちらで教えています。
塩野:慶應ビジネススクールの生徒は、企業から派遣されてきたオッサンばかりじゃないですか?
山本:女性も約3割はいますが、まだ男性中心ですね。私、自分でもびっくりしたんですが、慶應ビジネススクールの約50年の歴史で、史上初の女性教員なのです。
塩野:史上初ですか! そういう意味で、何かギャップがありましたか?
山本:それが意外となくて。もっとひどい目に遭わされると思ったんですけど(笑)、慶應ビジネススクールは学費も高いし、私も自分で学費を払って大学院に行ったので、ムダにできないという気持ちがある。だからきっとディマンディング(要求が多い)な生徒たちだろうと覚悟していたんですけど、意外と生徒も先生方も優しかったですね。
今年の4月に出たこの本のおかげも大きいのかな。「サインください」って言われたりします。
塩野:それが『キーパーソン・マーケティング』という本ですね。では次回はその本の内容について、詳しくお伺いしたいと思います。
後編は7月28日掲載
(構成:長山清子、撮影:今井康一)
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