28歳のときに別れたが、スペックも相性も完璧だと感じられた雄一さんの面影はなかなか消えない。その後に付き合った人のことは好きになり切れず、逆に職場の先輩の彼氏から言い寄られるという不本意な事態に陥ってしまった。
「その先輩から無視されるようになり、仕事がうまく回せないようになってしまいました」
結婚に活路を見出したかった百合さん。両親と相談して、医師などのハイスペックな男性が多く登録していることで知られる老舗の結婚相談所に入ることにした。29歳のときだった。しかし、お見合い相手のコミュニケーション能力の低さに幻滅してしまう。
一般的に、結婚相談所にいる男性は条件面はそこそこ整っていて、しかもその内容に虚偽はなく、当然ながら結婚願望がある。それで女性とスムーズに会話できて積極性もあるのであれば、結婚相談所の力を借りる必要はなく結婚しているだろう。
「お見合い料などの費用対効果を考えるようになってしまい、その相談所が主催する婚活パーティーに参加することが増えました。そのほうが効率的にたくさんの男性と会えるし、私は話すことが比較的得意だからです」
何人かの男性と連絡先を交換してデートすることもできた。でも、どこかで雄一さんと比べてしまい、先に進む気持ちにはなれなかった。結局、5年間ほど在籍した結婚相談所をやめることになる。
まさかの「訴えられる」事態に
百合さんには一人暮らしをする夢があった。愛情を注いでくれる両親とは仲がいいが、週末に恋人とデートしようとすると「門限」を設定されるなどの息苦しさがあったからだ。35歳のときに父親の大反対を押し切って念願の一人暮らしを実現するが、ほぼ同時に不倫関係に突入してしまう。
「1歳年上の人でした。別れてから付き合おうとしたのに、『妻とはすぐに別れるから』とか『妻とは子どもはいらないけれど、君とだったら作りたい』というありがちな言葉にだまされてしまったんです」
自分の行為に呆れるような口調で赤裸々に語ってくれる百合さん。不倫相手も東京の有名私立大卒で、「結婚したらお父さんが喜んでくれる」という気持ちがどこかで働いたのだと自己分析する。
不倫はすぐに彼の妻の知るところとなり、百合さんは訴えられてしまった。慰謝料は恐縮した彼が立て替えたが、その裁判によって3年間の歳月を浪費した。
「何しているんだろう私、とさすがに目が覚めました。結婚するならば普通の人がいい、とようやく気付いたんです。見た目が嫌すぎず、土日は一緒に休めて、普通に会話できる人ならば、学歴や年収は問わないことにしました」
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