あえて「衝突映像」を公開するスバルの企業姿勢 JNCAP大賞獲得を支える「安全」へのこだわり

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説明会の後半、画面はスバル本社(東京都渋谷区恵比寿)1階のショールームに切り替わり、開発関係者らと報道陣との質疑応答が始まった。

冒頭、レヴォーグ開発総責任者の五島賢氏から「実は、レヴォーグがJNCAP(ジェーエヌキャップ)評価で最高レベルのファイブスターの中で、最高得点となる大賞を受賞した」という報告があった。

今回のSUBARUテックツアー開催は、この大賞受賞をきっかけに、前述のような後席シートベルト着用の啓蒙など、クルマの安全性に対する基本に立ち返って、メディアを含めて皆で考える場を提供する、という主旨だったのだ。

JNCAPとは、第三者機関である独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が車両を購入し、衝突試験など自動車の安全性の評価を行い、データを公開する自動車アセスメントである。

今回から、評価における採点集計方法が変わり、これまで別々の評価での採点を行ってきた「衝突安全性能」と「予防安全性能」、これに「事故自動緊急通報装置」の3領域の得点を合計した総合評価が採用されるようになった。

レヴォーグは全領域で“ほぼ満点”

具体的には、正面衝突である「フルセット衝突(運転席、助手席)」がそれぞれ最大12点、「オフセット衝突(運転席、助手席)」がそれぞれ12点、「側面の衝突」が12点など、100点満点でレヴォーグは96.91点を獲得した。

側面衝突の試験に使われた「レヴォーグ」(写真:SUBARU)

また、衝突被害軽減ブレーキでは「対車両」が33点、「歩行者(夜)」が25点など、82点満点で82点となった。これぞ、新世代アイサイトの実力である。

さらに、事故発生時にエアバッグが作動したことを緊急通報する「事故自動緊急通報装置」では8点満点で8点となり、全体で190点満点のところ186.91点を獲得。レヴォーグはファイブスターでの大賞をとなった。

今後は、トヨタと共同開発するSUV型のEV「ソルテラ」など、EVの衝突安全についてスバルのチャンレンジが進んでいくことだろう。いずれにしても今回のSUBARUテックツアーは、筆者自身にとって後席シートベルト着用がとても重要であることを改めて理解できるいい機会となった。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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