フランスで和食ブーム!かつお節工場新設へ 欧州で本物のダシ普及!直接投資で日本を売り込め

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今後の対仏直接投資の行方を占ううえで気になるのが、同国の重電大手アルストム問題の影響だ。

政府の“口出し”には注意が必要

同社をめぐっては米国のゼネラル・エレクトリック(GE)の買収提案にフランス政府が直接介入。最終的に、GEとアルストム両社は、エネルギー事業の提携で合意したものの、買収はガス・タービン部門のみにとどまった。

日本のフランスへの直接投資額は世界6位。直接投資で「Win-Win」の関係を築けるか

「仏国内のアルストム従業員の雇用維持、同社の経済活動継続、エネルギー戦略の独立を担保するという“3原則”に沿って政府は行動した」(フランスの日刊紙記者)。その結果、GEは譲歩を余儀なくされた感が強い。

 フランス政府による“口出し”は今回に限った話ではない。過去には鉄鋼世界最大手アルスロール・ミタルの同国内の製鉄所閉鎖など企業のリストラ策に介入した経緯もある。

「重点産業や戦略的分野における先進国の対応は同じようなもの。フランスだけが厳しいわけではない」(パリ・イルドフランス地方開発局の関係者)といった声は少なくない。だが、政府の一連の対応が外国企業の投資姿勢に及ぼす影響は流動的だ。

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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