「低視聴率で終わる朝ドラ」の意外すぎる共通点 なぜか「時代設定80年代以降の作品」は不調ぎみ

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法則4:大阪は仕掛け続けている!

最後はちょっとマニアックな法則。朝ドラは、1975年に年度内2作制作体制(それまでは、1年度=1作でした)となって以降、春スタートの前期は東京、秋スタートの後期は大阪のNHKがメインで原則交互に制作(東京制作を“A制”、大阪制作を“B制”と呼んでいるそう)しています。

若干の例外はあるものの、A制の作品の舞台は関東以北、B制は中部・関西以西と設定されているようです。あくまでも業界内の噂ですが、このA制・B制の間のライバル心は激しいと言われ、いかに前作よりも視聴率を上げられるか、話題を盛り上げられるかに腐心しているとか……。

実際は、平均すると視聴率ではわずかにA制が上回っているようですが、公表される数字が関東地区調査のものですから、その分有利ではありますよね。

このライバル心が影響しているかどうかはハッキリと言えないものの、近年になって何かと“仕掛けてきている”のは、間違いなく大阪のB制です。

つねに「異色作」をしかけるNHK大阪

ヒロインに、撮影当時最年少16歳を起用したのは、第69作のB制『てるてる家族』(2003年)の石原さとみ。しかも、この作品は劇中で突然、セリフが歌になるという“ミュージカル仕立て”な異色作でした。

史上最年長ヒロインもB制。第75作の『芋たこなんきん』(2006年)の藤山直美(当時47歳)です。さらに前述の『マッサン』で、朝ドラ史上19年ぶりに男性主人公を復活させたのもB制。しかもヒロインには初めて外国人俳優(シャーロット・ケイト・フォックス)を起用し、スコットランド・ロケまで敢行しています。

さらにさらに、冒頭にご紹介した、筆者が構成を担当した番組『朝ドラ100作~ファン感謝祭』内での「思い出の名シーンランキング」で、視聴者が選ぶ、朝ドラ全100作中でいちばん記憶に残った名シーン堂々の第1位は、第77作のB制『ちりとてちん』(2007年)の「徒然亭草若(渡瀬恒彦)が落語『愛宕山』を披露するシーン」でした。予想されたA制の『おしん』や『あまちゃん』を抑えてですから、やはり決めるところはキメルのもB制というところですかね。

ちなみに、朝ドラ史上最多出演数を誇る俳優をご存知ですか? 正解は、南条好輝(68歳)という方。

失礼ながら、決して有名な役者さんではありませんが、主に関西で舞台やテレビなどを中心に活動され、朝ドラにはこれまで実に14作に出演(前作の『おちょやん』にも、岩下という役で出られていました)されています。

朝ドラ最多出演の俳優・南条好輝さん(写真:共同通信)

そして彼の出演作すべてが、何と大阪B制。大阪の“仕掛け”のユニークさは、こんなところにも表れているんですよねぇ。

ということで、朝ドラの法則をいろいろと検証してきました。まだまだ検証したい法則はありますが、それはまたの機会に。

最後に……放送中の『おかえりモネ』は、タイトルに“ん”の字はなく、物語の始まりが2014年5月というバリバリの“現代劇”のA制。高視聴率にもやがて陰りが見えるのか……果たして?

(文中敬称略)

小林 偉 メディア研究家

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こばやし つよし / Tsuyoshi Kobayashi

メディア研究家、放送作家、日本大学芸術学部講師。東京・両国生まれ。日本大学藝術学部放送学科卒業後、広告代理店、出版社を経て、放送作家に転身(日本脚本家連盟所属)。クイズ番組を振り出しに、スポーツ、紀行、トーク、音楽、ドキュメンタリーなど、様々なジャンルのテレビ/ラジオ/配信番組などの構成に携わる。また、ドラマ研究家としても活動し、2014年にはその熱が高じて初のドラマ原案・脚本構成も手掛ける。

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