1台わずか11席!個室で「安眠できる」夜行バス 「ドリームスリーパー東京大阪号」旅のすすめ

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バスは山手通りを南下していく。夜行バスでは通常、カーテンを閉めて配車されるので、夜の街並みを眺められるのは新鮮だ。JR新宿駅ではバスタ新宿ではなく、西口ロータリーの14番乗り場に停車する。何人かが乗り込んだようだが、個室内はその気配すら感じさせないほど静かだ。23時20分に発車すると、再びひととおりの案内放送があり、「以後のご案内は明日、南海なんば高速バスターミナル到着前とさせていただきます」と結んだ。

普通の夜行バスならここで消灯だが、個室なので、静かな過ごし方なら各自の自由である。コンセント、USB充電コンセント、Wi‐Fi完備なので、大きなテーブルにパソコンを広げてもいいし、スマホにイヤフォンをつないでゲームをしてもいい。食事をとることもできるし、ずっと車窓を眺めていることだってできる。

個室

とはいえ、私はカーテンを閉めて就寝の準備にとりかかった。電動式リクライニングシートの背もたれ、座面、レッグレストを調整して、自分好みの体勢を探し出す。「ゼログラビティシート」と名づけられたこのシートは、上半身と下半身を水平に保つことが可能である。昭和西川のムアツクッションが全身を優しく支えてくれる。

さらに、個室内にはイオン発生機プラズマクラスターが設置されている。天然精油を使ったウェルカムアロマも用意されている。備えつけのヘッドフォンを使えば、4種類の癒やしサウンドを聴くことも可能だ。部屋の明かりは無段階に調整することができる。

至れり尽くせりの“安眠サポート”に身をゆだね、あっというまに眠りに落ちた。

翌朝、大阪に到着

「まもなく大阪駅桜橋口です」の放送で目覚めたのは6時半過ぎだった。

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南海なんば高速バスターミナル到着にまったく気づかなかったが、下車客がおらず通過したのかもしれない。カーテンを開けると、ビル街の一般道を走行している。そして定刻より10分早い6時50分、JR大阪駅桜橋口高架下のバス停に停車した。

終点の両備バス門真車庫まであと40分、朝の車窓を楽しんで、京阪電車で大阪市内に戻ろうか。そんな迷いが生じるほど、居心地のよすぎる空間だった。

加藤 佳一 BJエディターズ編集長

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かとう よしかず

1963年東京都生まれ。東京写真専門学校卒業。1986年にバス専門誌『バスジャパン』を創刊。1993年から「BJハンドブックシリーズ」の刊行を続け、バスに関する図書を多数監修。著書に『つばめマークのバスが行く』『そうだったのか、都バス』(ともに交通新聞社新書)、『路線バス 終点の情景』(クラッセ)、『都バスで行く東京散歩』『一日乗車券で出かける東京バス散歩』『ローカル路線バス 終点への旅』(以上、洋泉社新書)などがある。

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