日産「軽EV」将来性が不透明でも発売を急ぐ理由 ベネフィットなくても無視できないESG投資

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同車のボディ寸法は、全長3434㎜×全幅1512㎜×全高1644㎜で、軽自動車の車両規格(全長3400mm以下、全幅1480mm以下、全高2000㎜)と比べると、全長と全幅で若干大きいが、これはショーモデルとしての許容範囲だと思う。

このクルマのキーポイントは、「上質なスモールEV」という開発コンセプトだ。担当デザイナーは、IMkの内外装に日本の伝統建築のテイストを盛り込んだと主張する。

「IMk」のリアデザイン(写真:日産自動車)
「IMk」のインテリア(写真:日産自動車)

IMkと同時に発表された「アリア・コンセプト」が、“ほぼ量産”の状態でのショー出展だったことから、IMkもコンセプトモデルにかなり近い形で量産されることになり、軽としては車格の高いプレミアムモデルになると予想される。

そうなると、価格も高めになるだろうと予測するユーザーも多いはずだが、EVのコストで大きな影響があるリチウムイオン2次電池ついては、「ルノー・日産・三菱アライアンス」でのEV多モデル化による量産効果が見込まれる。これに加えて、e-POWERに関連する各種電動パーツの量産効果もあるはずだ。

実際、日産が2021年2月に筆者を含めた一部メディア向けにオンラインで行ったe-POWER技術説明会で、開発担当者は具体的な事例を紹介しながら「このようにリーフなどの日産EVとe-POWERは、電動化という概念のみならず、モーター、インバーターなどの制御系で部品の共通性がとても高い」と説明していた。その恩恵は、軽EVにも及ぶはずである。

筆者の見立てとしては、プレミアムといってもあくまでも軽であることを考えると、「軽EV」は現行の商用EV、三菱「ミニキャブ・ミーブ」(243万1000円~)とほぼ同等の値付けが妥当な線だと思う。

超小型モビリティの教訓

「軽EV」の売り方は、従来の“新車売り切り型”だけではなく、リースやカーシェアなどコネクティビティ技術を活用したさまざまな新サービスを準備するはずだ。

ただし、こうした小型EVにおける新サービス事業については、2010年代前半から全国各地で実証試験を行ってきた超小型モビリティで、産官学連携の議論による“成功しうる事例を探す手法”は出尽くした感がある。

日産の場合、ルノー「トゥイジ―」を日産「ニューモビリティコンセプト」と命名して実証試験を行ってきた。

「チョイモビ ヨコハマ」としてシェアリングの実証実験も行われた「ニューモビリティコンセプト」(写真:筆者撮影)

しかし、同車を使って横浜市と長年にわたり連携してきた「チョイモビ ヨコハ」も、実証試験としては2021年3月16日でその使命を終えている。

正直なところ、超小型モビリティ関連の取材をこれまで定常的に続けてきた者として、車格が近い「軽EV」で乗用向け主体のサービスを持続的に事業化することは、とても難しいと感じている。

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