買い物帰りの妻を圧倒的に絶望させる「最後の3m」 夫に手伝ってほしいのでなくねぎらってほしい
女性脳は共感とねぎらいで、ストレス信号を減衰させる。家事を手伝ってくれることもたしかに嬉しいけど、家事をねぎらってくれることのほうがずっと大事。
そう考えてみると、ヨーロッパの男性たちがするレディファーストは、よくできたマナーだ。女性が荷物を持っていたら手を差し伸べる、ドアを開けようと思っていたら開けてやる、女性が椅子に座るのを待ってから自分が座る。あれは、女性たちに「あなたを見守ってますよ、あなたがしていることに敬意を抱いてますよ」を表すアイコン(象徴)。今さら恥ずかしいと言わず、試してみてほしい。定年後の暮らしが楽になる最大のコツだ。なにせ、ここから40年あるのである。
くだんのコメンテイター氏は、「うちの妻は、30年も完璧な専業主婦として、僕を支えてくれている。いわば、プロフェッショナル。うちの妻に限って、そんなことは絶対にない」と言い切っていたが、翌日、お詫びのメールをくださった。「帰宅したら、玄関に妻が立っていて、黒川先生が正しい、と叱られました」と。
「妻をねぎらう」が夫婦を救う
あるとき、私のイタリア語の先生(イタリア人男性)に、夫源病について説明していたら、まったく通じない。イタリア語が難しいわけじゃない(最後はほとんど日本語でしゃべっていた)。イタリア人男性が、日本の夫たちが気軽にすることをしないからだった。
「2階から、妻を呼びつける?したことがない。イタリア男は誰もしない。イタリアの女性は、絶対に来ないから」
「お茶!それだけでお茶が出るの? イタリアでは、店員さんにさえ、「Per favore(お願いします)」をつけるのに。しかも、家で飲み物を淹れるのは男の役目。イタリアで、妻に「Un caffè(コーヒー)」と言ったら、「いいわね」か「要らない」のどちらかの返事が返ってくる」
「靴下を脱ぎっぱなしにする?なんだそれ。イタリアでは、大人はけっしてそんなことはしない」
「妻に小言?とんでもない。女性たちの仕事には敬意を払う。家事は簡単なことじゃないから」
……だそうです。
イタリアでは、職業を聞かれると、堂々と「主婦(Casalinga、カーサリンガ)」と応える。家ごとに独自のパスタとソースとドルチェを継承していくマンマたちの地位は高い。「職業は?」と聞かれて、「いいえ、何も。ただの主婦です」と答えるわが国の主婦たちがなんと多いことか。自分を過小評価しすぎて、人生に意味が見いだせず、夫に絶望する。家族に主婦業に対する敬意がなく、「ねぎらう」マナーがないのが問題なのだろう。
とはいえ、恥ずかしがり屋の日本男子に、イタリア男の真似はとうてい無理。日本男子らしい、和のレディファーストを作らなければならないかもしれない。
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