アメリカ外交官130人が「謎の脳損傷」調査の中身 中国、ロシア、キューバなどで被害の報告

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12月に発表された報告で、米国科学アカデミーはマイクロ波兵器が損傷をおそらく引き起こしたとしている。マイクロ波もしくは指向性エネルギー機器が原因である可能性が最も高いと信じる高官もいる。

脳の損傷の程度には大きな幅がある。しかし、被害者の中には、慢性的で不可逆的な症状や痛みを訴えている人もおり、脳の損傷が永久に続く可能性が示唆されている。ウォルター・リードの医師らは、政府関係者に対し、被害者の中には自殺の危険性がある者もいると警告している。

CIAは「謎の不調」に懐疑的だった

アメリカは国内外の事例を調査してきたが、国家安全保障会議によると、その大半は海外で起きたものであり、国内で報告されたものの中には、以前に海外で起きた事件の後遺症である可能性が高いものもあると、現役、および元政府高官は述べている。

しかし、ホワイトハウスのスタッフが関与した少なくとも2つの事例ーー1つは2020年にホワイトハウス南側のエリプス付近で国家安全保障会議の職員が被害に遭ったもの、そしてもう1つは2019年にバージニア州北部で犬の散歩をしていた女性が被害に遭ったものーーについては、以前の海外での出来事との関連は認められていない。関係者の多くは、ロシアやほかの勢力がアメリカ内で攻撃を行うことに懐疑的な見方を示しているが、関係機関が調査を進めている。

議会はCIAにさらなる要求をしている。4月、非公開で行われた上院情報委員会の会合で、上院議員らはCIAが謎に包まれた一連の事案の調査をほとんど行わず、最近までそれについて懐疑的な見方を示していたことを非難したと、この会合に出席した議員らは述べている。

トランプ政権時代、情報局の中には、外国勢力が関与しているとする情報が乏しく、ロシアや他国の情報機関が挑発も受けずにアメリカ人を攻撃するのは客観的に見て意味をなさない、と主張する職員もいた。脳損傷の原因に疑念を持つ者もいた。

現役、および元政府高官の話では、新たに就任したウィリアム・バーンズCIA長官は、この問題に対する情報局の対応を改善するために調査の強化を図っている。バーンズ長官は犠牲者に会い、負傷した情報局職員を治療した医師を訪問し、議員に対して説明を行った。

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