アメリカ外交官130人が「謎の脳損傷」調査の中身 中国、ロシア、キューバなどで被害の報告
バイデン政権はこの出来事の責任の所在、また攻撃を引き起こすものかを断定していない。しかし、国防総省はロシアの軍事情報局GRUが先の2歳児がかかわっているケースの裏側にいる可能性が最も高いと考えており、別の事例ではロシアに指摘する証拠が浮かび上がっているが、情報機関は原因、ないし外国の力が関与しているかどうかの結論を下していない。
「現在のところ、われわれはこれらの事件の原因に関する決定的情報を持っておらず、推測するのは時期尚早であり、無責任だ」とCIA報道官アマンダ・ショッホ氏は語る。
ロシア政府は関与を繰り返し否定している。先の当局者によれば、戦闘地域で負傷した兵士はいない一方、ヨーロッパとアジアでは負傷者が出ている。
新たな組織を設立して調査
何人かは長期的な消耗性頭痛などの脳損傷を患っている。国家安全保障会議によると、これには音、気圧、熱などの「感覚現象」を伴い、突然のめまい、吐き気、頭痛、首の痛みなどの身体症状が同時、あるいは後から起こる。
本記事は、この問題に取り組んできたか、もしくはその事項を把握してきた複数の政府機関における20人の現職、および前職の高官へのインタビューに基づいており、その多くは機密扱いとなっている。
バイデン政権は、高官に問題を真剣にとらえていると示すことと、政府内や国民の間でパニックが拡大しないよう努めることを注意深く両立させようとしている。報道官によると、国家安全保障会議は、新たな未報告の事案が基準に当てはまるか明らかにするため諜報分析を始めたという。
「われわれはこの真相を突き止めることにアメリカ政府のリソースを集中している」と国家安全保障会議のエミリー・ホーン報道官は語った。
CIAは本件に関する経緯や首謀者などの情報収集のための新たなターゲティング組織を設立。組織は、アメリカ同時多発テロ事件後のオサマ・ビンラディン捜索にCIAが拡大した組織と同様の過酷さと厳しさで活動することを目的としている。ホワイトハウスもこの事案の報告の標準化と、被害者向けの医療の改善に取り組んできた。