アメリカ外交官130人が「謎の脳損傷」調査の中身 中国、ロシア、キューバなどで被害の報告
5年前から、外国で活動するアメリカの諜報員・外交官・兵士など政府職員が脳に損傷を受ける原因不明の事例が相次いでいる。現職、および元政府高官によると、現在その数は130人を超えており、これまで知られていた数より圧倒的に多い。
CIA・国務省・国防総省などの職員の発症者数が増えたことで、バイデン政権内部では懸念を示す声が急速に広がった。当初公に確認された症例は、中国とキューバに集中しており約60人だった。この中にはそもそも総数が公開されていないCIA職員の発症者数は含まれていない。
過去2週間以内に発症した例も
新たに加わった被害者たちはヨーロッパや中国以外のアジア地域で勤務している。ここ数カ月で被害者が急増し懸念が高まるなか、中国とキューバ以外での被害者数を以前に増して徹底的に精査しようとするバイデン政権の取り組みにより、総数が明らかになった。
12月以降、少なくとも3人のCIA職員が外国で発症し健康に深刻な影響が出たと訴えている。うち1人は過去2週間以内に発症しており、全員がウォルター・リード米軍医療センターなどの施設にて外来治療を余儀なくされた。
さらに、同様の事件の概要を知る現役及び元政府高官4人の話によると、今回明らかになった2019年の事例では、外国で勤務する米軍当局者の運転する車が交差点に差し掛かると、吐き気と頭痛に襲われたという。後部座席に座っていた2歳の息子は泣きだした。交差点を離れると、吐き気は収まり息子は泣き止んだ。
2人とも政府による治療を受けたが、これが長期に渡る衰弱によるものなのかは明らかでない。当局は職員がターゲットにされた可能性があると考えている。この出来事はトランプ、バイデン両政権の関係者を困惑させており、さらなる調査が急がれている。