コロナ禍の日本とフランス往来「水際対策」の現実 各人の「良心」頼りでは徹底できない自主待機

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隔離中の宿泊費と食費は公費により賄われる。隔離が終わった後の残り11日間の自主待機は、自宅もしくは私費により自ら手配した宿泊先で待機を行う。自主隔離場所への移動は、今まで同様に公共交通機関は使えない。(インドなどからの入国者は、入国後3日目と6日目に検査を行い、どちらの検査も陰性だった場合は、検疫所が確保する宿泊施設を退所し、その後、自主待機に移る)。

羽田空港の国際線到着ロビーは人がほとんどいない(写真:筆者撮影)

加えて一連の14日間は、スマホの携行と位置情報を確認する専用アプリを入れることが必須になった。スマホを持っていない場合や、スマホが専用アプリに対応していない場合は自己負担でレンタルが必要となる。

これは自主待機をしている人が自由に移動してしまうことを防ぐためだ。事前に申し出た待機場所と違う場所にいれば、その差異が厚生労働省に報告されるようになった。入国時にこれらに関する誓約書の提出が求められ、違反した場合は氏名が公表される可能性がある。

こうして入国ができるのは私が日本国籍を有しているからであり、外国人の場合、14日以内に上陸拒否対象国・地域に滞在歴があると、「特段の事情」がない限り日本への上陸は拒否される(5月14日からインド、ネパール、パキスタンも対象国に追加)。

ちなみに法務省の出入国管理統計の速報値だと、2021年4月に外国人入国者数は1万7557人、日本人帰国者数は2万9795 だった。うち羽田空港は外国人3013人で日本人は1万1912人。成田空港は外国人の割合が高く1万1440人、日本人は1万2648人だ。一方で、日本からの出国者は外国人4万5053人、日本人は3万5905人だった。

フランスは対象国によっては指定ホテルで7日間

一方で、ワクチン接種が進みつつあるフランスでは、どのような水際対策を行っているのだろうか。

2021年5月12日現在だと、ヨーロッパ圏、オーストラリア、韓国、イスラエル、日本、ニュージーランド、イギリス、シンガポールを除く欧州域外からのフランスへの入国は、フランス国籍者またはフランス滞在許可証所持者など、やむをえない理由を除いて許可されていない。

搭乗前72時間以内にPCR検査を受けて陰性証明を用意しなければならないが、フランス入国時に検査はない(ただし、場合によっては検査レーンに回される)。

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