コロナ禍の日本とフランス往来「水際対策」の現実 各人の「良心」頼りでは徹底できない自主待機

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日本を含む上記対象国については、フランス入国後、7日間の自主隔離となる。隔離場所は自宅などでもよく、とくに厳しい制限と監視があるわけではない。7日間が終わった後にPCR検査を受ける誓約書を書くが、実際に受けたかどうかチェックがあるわけではない。

それ以外の国からの入国の場合は、フランス当局が決めたリストに掲載されているホテルで7日間の自主隔離を行う。費用は全額自己負担だ。この隔離期間が終わったあとは、PCR検査を行う。

良心に任せる水際対策徹底は難しい

日仏共に、入国後の隔離措置については各人の良心に任される部分があるが、すべての人を善人として信用することは難しいようだ。

例えば日本の場合、5月1日付の共同通信によると、入国後の自主隔離期間において誓約場所での待機が確認できなかったり離れた場所にいたりする人は、多い日で1日300人超に上ったという。14日間の健康観察期間中で、1日1回の位置確認が必要な人は平均約2万4000人おり、そのうち誓約場所での待機を確認できない人は毎日約200~300人であるそうだ。内訳は「報告が来ない」が7割で「誓約の場所から数キロ離れている」が3割。割合としては約1%。ほとんどの人は守っているが、ウイルスの広がりやすさを考えれば、軽視はできない。

個人的な体験ではこんなこともあった。筆者とほぼ同じ時期に羽田空港にフランスから帰国した人が、最初3日間の隔離が終わったすぐ後に、福岡にいる様子をSNSに上げていた。友人とレストランで飲食を楽しんでいたようだ。その後は東京へ戻り、表参道など東京の繁華街での様子も上げていた。すべて自主待機の14日間以内だった。

もちろん、その人はすべて公共交通機関を使わずに移動したかもしれないし、それら繁華街はすべて自主待機場所の近くであり、何か日用品を買いに行く途中に撮ったものかもしれない。しかし、筆者の頭には多くの疑問符が付いた。

また、実家が東京などになく地方である場合、自主待機を自ら手配したホテルなどで行う必要がある。そのため空港からの交通手段や自主待機を、経済的な理由で守らない人もいる。筆者の周囲でも、そのような人を見かけたことがあるし、自主待機中に監視があるかどうかの問い合わせを受けたことがある。

今夏、フランスから日本への一時帰国を考えている人は筆者の周囲でも多い。ルールを守らない人がいる限り、日本へ一時帰国する在留邦人および外国人への風当たりは強くなるだろう。「見ていないから」「私だけなら」という心が、結果的に日本社会の入国者への反感を増幅させ、入国者全体の首を締めることになってしまう。

守隨 亨延 ジャーナリスト

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しゅずい ゆきのぶ / Yukinobu Shuzui

愛知県出身、パリ在住。ロンドン大学クイーン・メアリー公共政策学修士修了。東京で雑誌記者、渡仏後はANNパリ支局勤務などを経て、現在は『地球の歩き方』フランス・パリ特派員。フランス外務省外国人記者証所持。主な取材分野は日仏比較文化と社会、観光。故郷の愛知県東海市では『聚楽園大仏を次の世代に伝える会』代表として関連文化財の保護活動に従事する。

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