クラブハウスで政治話に熱中した中国人の悲劇 香港や天安門事件、ウイグルの話題は即削除

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クラブハウス側は、データを中国国内のサーバーに送信しないよう、暗号化措置を追加すると発表しており、実際にデータが中国国内のサーバーに送られなくなれば、この点ではセキュリティの懸念は解決するでしょう。

しかし、つい最近もラインのデータが中国と韓国のサーバーに分割して保存されている、という問題が判明し、ラインではすべてのデータを国内に移転するよう善処すると発表しています。

インターネットの普及と高度な発展で、さまざまなサービスがグローバル化されてきました。それにともない、セキュリティの問題も噴出しています。クラブハウスも例外ではありません。クラブハウスで政治的な会話などを楽しみたいといったユーザーは、そんな懸念があることだけは十分に認識しておきましょう。

一方で明るい未来も

ツイッターでは政府に反対する人々が連絡を取り合い、アラブの春を実現したように、あるいはトランプ前アメリカ大統領が過激な発言をくり返したり、さらに日本でも政府からのお願いがツイートで流れ、野党の政治家が大臣に向かってケンカを売るように意見をツイートするといった例が、日常的に行われています。日本で大きな地震が起これば、すかさず台湾の蔡総統がお見舞いのツイートを発信してくれたりしたこともあります。

インターネット以前、SNS以前の世界では、考えられなかったようなことが実際に起こっているのです。クラブハウスはこの状況を、もっと劇的に変化させるかもしれません。プライベートでクラブハウスのルームで話をしていたアメリカ大統領が、たまたま覗いていた中国の主席を見つけて会話に誘い、ルーム内で首脳会談が始まる、などといったことが起こる可能性は、決してゼロではないのです。ツイッターや他のSNSと異なり、音声SNSにはそんなリアルな会話を実現させる可能性があります。

『ビジネスが広がるクラブハウス』(青春出版社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。

クラブハウスでの会話は、どの国のどこにいようが、インターネットに接続してサービスが利用できれば、いつでも成立します。もちろん、だからといってクラブハウスで首脳会談が突発的に始まるなどと期待はしませんが、事前に時間を決めてルームを開催するような正式な会談なら、それも可能なはずです。

首脳会談などとはいわず、与野党の政治家が時間にとらわれずにじっくりと議論をすることだってできます。それを何百、何千という多くのユーザーが簡単に聴くことができ、場合によってはその議論に参加することだってできるのです。テレビやラジオよりももっと手軽で、もっと簡単に、そんなことを実現できるのがクラブハウスです。

そう考えると、多くのSNSのなかでもクラブハウス、あるいは今後出てくるであろう音声SNSは、非常に多くの可能性を秘めており、期待することもできます。

コロナ禍のなかで、突如スタートした音声SNSのクラブハウスは、SNS全盛の現代に新しい可能性と未来を切り拓く、まったく新しいツールだと断言できます。

武井 一巳 ジャーナリスト

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たけい かずみ / Kazumi Takei

1955年長野県生まれ。ジャーナリスト、評論家。大学在学中より週刊誌・月刊誌等にルポルタージュを発表。ビジネスや最先端技術分野の評論を行なう一方で、パソコンやネットワーク分野、電子書籍などに関する初心者向けのやさしい解説量を多数執筆。

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