トヨタが自動運転車に込めた「テスラの手法」 レクサスと燃料電池車に初めて搭載した新機能

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豊田社長は昨年3月、NTTと資本業務提携をした際に「ソフトウェア・ファースト」を初めて宣言した。具体的には、従来のハード(車)とソフトを一体で開発する方法から、ソフト開発を先行させ、その後で適切なハードを選択するやり方に変えていく。それを体現するのが、今回のOTAの装備だ。

トヨタのソフトウェア・ファーストの展開で中核になる子会社(ウーブン・プラネット・ホールディングス)でCTO(最高技術責任者)を務める鯉渕健氏は、「自動運転やコネクテッドの技術は2~4年でどんどん変わっていく。OTAとソフトウェア技術がセットになれば、常に最新の状態に保てる。新しい商品コンセプトを実現するうえでOTAは大変重要な技術だ」と話す。

実はOTAの詳細は「未定」

LS500hの最上級グレードの場合、アドバンスドドライブ設定車の価格は税込み1794万円と、非設定の同グレード車よりも66万円高い。MIRAIの最上級グレードの搭載車の価格は860万円で、非搭載車との価格差は55万円。トヨタの前田昌彦CTOは「55万円を高いと感じるか安いと感じるかはお客様次第。今後もサプライヤーと協力しながら、『良品廉価』で提供できるように開発を続けていきたい」と話す。

新たな一歩を踏み出したが、手探りの部分も多い。トヨタは現時点でOTAを通じたソフト更新の頻度や課金の有無については未定としているからだ。レクサス「LS」の武藤康史チーフエンジニアは「車のソフトウェアアップデートにどれだけ価値を認めてもらえるか、どれだけお金を払ってもらえるかは、スタディをしてはいるが実は不透明だ」と話す。

前出のアーサー・ディ・リトル・ジャパンの粟生マネジャーも「ソフトのアップデートごとにお金を払うというのは、顧客にそういった習慣がないため、当面は難しいだろう」とみる。そのうえで、「(自動車を販売した後の)ソフト更新の費用を回収するならば、新車価格にあらかじめその費用を乗せるか、(月額の料金を支払う)サブスクが現実的ではないか」と話す。

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