トヨタが自動運転車に込めた「テスラの手法」 レクサスと燃料電池車に初めて搭載した新機能
テスラは「FSD(フル・セルフ・ドライビング)」と呼ばれる自動運転機能のオプションを1万ドル(約109万円)で提供している。前車との距離を保ったり、一定の速度を保ったりする機能や車線の中央を維持して走行する機能は標準装備されている。車線変更や分岐、追い越しといったより高度な機能を利用するにはFSDが必要になる。
展開車種の中で最も価格が安い「モデル3」は米国では約3万5000ドル(約380万円)からで、FSDをつけると車両価格の3割近いオプション料金を払うことになる。高額なオプションにもかかわらず、「テスラ車ユーザー全体に占めるFSDの契約率は30%程度」(関係者)といわれる。
「テスラは若年層を中心に、新サービスに感度が高く、最新技術にお金を払うことをいとわない顧客層を取り込めている」(アーサー・ディ・リトル・ジャパンの粟生真行マネジャー)。加えて、「FSDの粗利率は80%程度と車両のみが1台売れるよりも利益が出るだけに、このビジネスモデルは秀逸だ」(ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表兼アナリスト)。
トヨタがテスラに学べる点がある
テスラは次なる手も打つ。イーロン・マスクCEOは先月、「5月にFSDのサブスクリプション(定額課金)が利用可能になるのは確実だ」とツイート。これまで1万ドルというオプション価格がネックでFSDの契約をためらっていたユーザーが「お試し」で契約する可能性も高い。
テスラは将来的に完全自動運転を狙っており、自動運転技術の進化次第で契約者が増える可能性もある。FSDの課金額はまだ公表されていないが、海外のアナリストは月額150~200ドルと予想している。
こうした展開に強い関心を示しているのがほかならぬトヨタだ。豊田章男社長は2020年11月の中間決算会見でテスラをどう見ているのかと問われ、「(テスラは)EVで利益を出す。また、ソフトウェアのアップデートでも収益を上げている」としたうえで、「われわれにとっても学べる点が多々ある」と述べた。
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