列車とホームの隙間埋める「秘密兵器」の開発者 JRや大手私鉄が続々と採用、足元の安全支える

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これも同社の独自開発だが、開発パートナーが東海ゴム工業(現・住友理工)であることは公表している。積極的な販売活動を行っていないだけで、要望があれば外販もするという。

運用開始以来、段差や隙間が大きい曲線駅のホームには、落下防止用に随時設置を進めてきたが、国交省の要請に応え、オリパラ開催を見越したバリアフリー対策目的の整備を、昨年6月までに完了させた。

銀座線に設置されたくし状ゴム(筆者撮影)
日比谷線六本木駅(筆者撮影)

対象となったのは、銀座線、丸の内線、千代田線の全駅と、五輪会場に近い東西線の九段下、竹橋、大手町、有楽町線の有楽町、豊洲、辰巳、新木場、副都心線の北参道、明治神宮前〈原宿〉、半蔵門線の青山一丁目、九段下、大手町の計7路線78駅。各路線ごとに同一の乗降口にホームドアとともに整備した。

以前から手がけてきた転落防止目的の整備は必ずしもホームドア設置とセットというわけではなく、設置箇所も路線や駅によってまちまち。カーブがきつい日比谷線六本木駅には、6号車位置を除くホーム全体に長尺のくし状ゴムがびっしり設置されている。

可動式ステップの設置も

同じ日比谷線では、上野駅もカーブがきつい。コロナ前までは訪日外国人で大にぎわいだったからか、中目黒方面ホーム、北千住方面ホームともにホームドアは配備済み。

北千住方面ホームには、全部で28ある乗降口のうち、19カ所にくし状ゴムが設置されていることに加え、可動式のステップが計7カ所に設置されている。

上野駅はくし状ゴムに加え、可動ステップも設置(筆者撮影)

可動式ステップの主要メーカーは、主要ホームドアメーカーの京三製作所、ナブテスコ、日本信号の3社。ホームドアが開く直前に自動的にステップがせり出し、ホームドアが完全に閉まったタイミングで自動的に元に戻る。

当然固定型のくし状部材に比べると導入費用は高額だが、くし状ゴムでは届かない広い幅の隙間用に、東京メトロでは7路線35駅で導入している。

隙間解消用の部材は東京と大阪では思いのほか、あちこちに付いている。スマホから目をはずし、足元に注意を払うと、そこそこの確率で出会えることは間違いない。

永谷 薫 東洋経済 記者

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ながや かおる / Kaoru Nagaya

繊維、化学、小売りなどの業界を幅広く担当。

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