沖縄でも激化する「外資系ホテル戦争」 マリオット、リッツに続きヒルトンが新規開業

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前のめりになっているのは、進出するホテル側だけではない。地元・沖縄の政財界も外資系ホテル誘致に積極姿勢を見せている。

背景には、日本人観光客が激減した、過去の苦い記憶がある。つい最近まで県外から訪れる日本人客だけで観光業が十分に潤っていた沖縄だが、リーマンショックや新型インフルエンザの影響で、2008年に604万人だった観光客数が2009年に565万人へと大幅に減少。イベントリスクの影響を抑えるためにも、観光客の裾野を日本人だけでなく、外国人にも広げることが急務となった。

沖縄県は2012年に「(第5次)観光振興基本計画」を策定。財政移転を含む県外からの収入(2008年度は約2兆2500万円)の2割弱が観光収入となっており、その割合は年々増加している。10年後の沖縄観光のビジョンとして、県内への観光客総数1000万人の2割を外国客にすることを標榜している。

2013年度の観光客は658万人(うち外国人63万人)で、京都市の宿泊者数(1000万人程度)に見劣りする。その一方で、既存ホテルの客室は夏の繁忙期にはフル稼働状態。航空路線も需要に追いつかず、那覇空港では新滑走路の建設を計画している。外資系を含めホテルの新設余地は大きい。

客室単価の回復との両立が課題

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沖縄の外資系ホテルでは古株に入る、オキナワ マリオット リゾート&スパ

ただし、東京など大都市圏に比べると、沖縄は客室単価の回復が遅れている。オキナワ マリオット リゾート&スパは開業9周年を迎えた、沖縄では古株に入る外資系ホテルだ。

坂本公敏・総支配人は「アメニティ(ホテルの備品)を充実させたり、施設の利用オプションを増やしたりして付加価値を上げ、単価向上や宿泊日数の増加に結びつけていきたい」と話す。

県も国際会議や研修旅行などの法人需要(MICE)の取り込みに力を入れており、リゾートとしての成長性はまだまだあるといえる。潜在需要を取り込むために、客室単価をうまく維持しながら、ホテルの供給を増やしていけるか。それが「観光立県」に向けて、沖縄が越えるべきハードルだ。 

 

筆者が手掛けた東洋経済オンラインのホテル連載が、電子書籍「1泊10万円でも泊まりたい ラグジュアリーホテル 至高の非日常」になりました。10万円以上するような部屋に泊まりたいと思わせるラグジュアリーホテルの魅力とはいったい何なのか。厳選9ホテルの総支配人たちが多いに語っています。
山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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