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そんな中、新年度に入り、政府がまた突然打ち出した「こども庁」創設という構想に、「選挙対策だ」などの賛否の議論が湧き上がっています。

今のところ、どういう分野が対象になっているのかはっきりせず、まだ創設の是非について論じる段階にありません。

しかし、「こども庁」が政治家の役職づくりや、票とりのためのアドバルーンにならないことを願っています。これは、次世代にとって本当に切実なことです。

一人一人の子どもが差別なく尊重される社会に

今、私たちの社会で問題になっている子どものさまざまな問題を見たとき、その解決のためには理念ある政策の実行が必要であることは明らかです。その前提として、日本も批准している子どもの権利条約の理念に正面から向き合うこと、子どもにかかわるすべての施策に子どもの権利を明記することを求めたいと思います。

どのような家庭環境に生まれても、子どもはすべて生きる権利、守られる権利、育つ権利、参加する権利をもっています。これを尊重するために、福祉や教育の施策はどうあるべきかを、子どもの視点から議論することが急務です。

大人の雑多な利害関係を乗り越えたところに理念を設定し、そこから優先順位を決めて制度を見直し、そのための予算を確保する。そのための「こども庁」であれば、期待は広がります。

児童虐待や養育困難を未然に防ぐことや、貧困対策としても、すべての子どもに質の高い保育が提供されることが重要であることを再確認する必要があります。その使命に関心のない事業者のためにしくみを歪めてはなりません。

「こども庁」が学校教育も所管することになるのであれば、さらに多くのことが期待されます。

同調圧力が強く、かつ過度に選別的になってしまっているシステムが家庭や子どもを息苦しくしています。

「教育格差」の解消のためには各種の経済的援助とともに公教育の立て直しが必要です。そのためには教員の負担軽減も必要です。

子どもを大人と同様の人格を持つ存在として尊重すれば、今話題になっている理不尽な学校の校則が改められるべきことは明らかです。

教師や保育者の職から性犯罪者を遠ざけるDBSの制度(子どもにかかわる職につく人に無犯罪証明の提出を義務づける制度)は早急に実施すべきです。

教育施策にとって福祉施策は子どもや家庭の土台を支えて教育の効果を行き渡らせる重要な手立てであり、福祉施策にとって教育施策は一人一人の幸せを追求する力を強化するための不可欠の手立てであるはずです。両者の目標は同じところにあります。

繰り返しますが、子どもの利益を無視して大人たちの利害を調整するだけの機関になるのなら「こども庁」はいりません。そうならないことを切に願っています。

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