台湾の経済発展に中国は有効か、対中FTAをめぐり与野党が激論
そのため、大陸にはすでに多くの台湾企業が進出しているが、人や資金の往来などに著しい制限がかけられ、自由な経済活動ができないとの不満が台湾財界を中心に蓄積していた。と同時に、台湾経済も低迷していたのが陳前政権時代でもあった。
そのアンチテーゼとして「中台経済交流」を打ち出し、総統選で勝利を収めて政権交代を果たしたのが馬総統である。前政権が不正腐敗にまみれたことも追い風になる一方、「中国人観光客の受け入れ拡大」「中台直航(航空便の直接往来)」「台湾企業の対中投資規制の緩和」などを打ち出し、経済成長を続ける中国を“利用”して台湾経済を活性化させ、台湾人民を潤わせるというアピールが奏功した。
これまで、中国人観光客の受け入れや中台直航が実現している。さらに経済協力を推進する核となるのが、今回のECFAだ。
「世界で台湾が活躍できる空間を広げたい」。
馬総統はことあるごとにこう語るのも無理はない。世界貿易機関(WTO)加盟が事実上妥結した2001年から、台湾も自由貿易協定(FTA)交渉を各国と推進しようとしてきたが、どれも中国の存在が障害となり進んでいない。パナマやグアテマラなど、台湾と国交があるわずか5カ国と締結できただけだ。
台湾を取り囲む東・東南アジアでは、自由貿易協定が花盛りだ。東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の間では関税障壁も低まり、台湾にとって対ASEAN、対中国との輸出条件も悪化していると言わざるを得ないのが現状だ。
台湾の対中貿易依存度も40%を占める。貿易障壁もまだ高い。そのため、中国とECFAを結べば、中国への輸出・投資への拠点としての台湾の価値も高まり、対台湾投資の増加を期待できる。また、中国と先に自由貿易協定を結んでおけば、台湾と他国との自由貿易協定交渉でも中国からの妨害工作も和らぐのではないか、と馬総統は考えているようだ。
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