餅もミカンも注意「カビは削れば食える」の危険 多くのカビ毒は症状がすぐに表れない

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カビの中でカビ毒が知られているのは、コウジカビ、アオカビ、アカカビ(フザリウム)の3属にほぼ限られている。これらの属のいくつかの種で毒性が知られている。

ただ、アオカビ属とアカカビ属は種の同定が難しいことが多く、この2属のカビについては簡単に安全宣言をできない。これらのカビは日常的に食べる穀類や果物などによく生える。多くのカビ毒が慢性毒性なので、1度食べただけで健康被害が出るとは考えにくい。それでも、毒性が疑われるカビに汚染された食品は、カビ毒についての化学的検査が必要である。

急性ではないからと言ってあなどらないでほしい。カビがはえているのを見つけたら、口に入れるべきではないのはもちろんだ。

ミカンのカビ毒は「食べ続けた場合」に発症

季節は終わってしまったが、ミカンのカビはなじみ深い。ミカンに生えるカビはどのような健康被害をもたらすのだろうか。ミカンに生えるカビといえば周辺が白く中心部が緑色のアオカビである。腐敗が進むと、きれいなブルーの別のアオカビが生えてくる。このカビは、人への健康影響は不明だが、ラットに健康被害を与えることが報告されている。

ミカンも、カビの部分だけを取り除いても安全とはいえない。ただし、誤ってカビの生えたミカンを食べることはあるし、私もそんな経験がある。しかし、心配することはない。他の食品でも同様だが、カビ毒による疾患は、カビの生えた食品を食べ続けた場合に発症するのだ。

日本での食品のカビ被害として、終戦後に起きた「黄変米事件」が有名である。アオカビは青色や緑色の胞子を作るとともに、しばしば黄色や赤色の色素を作り出す。色素によって黄色に変色した米が黄変米である。

当時は食糧難で、タイやビルマ(現ミャンマー)などから米が大量に輸入され、その中に黄色の米がしばしば見つかった。そして、それらのアオカビがさまざまなカビ毒を作ることがわかったのである。摂取し続けると肝臓障害を起こすルテオスカイリンや腎臓障害を起こすシトリニンといった成分が含まれていた。

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