「韓国に大差つけられた日本映画界」低迷の真因

なぜ邦画は「アカデミー賞」に選ばれないのか?

Netflixの『全裸監督』で脚本・演出(武正晴らとの共同)を手掛けて評価を高め、『ミッドナイトスワン』で日本アカデミー賞を獲得した内田英治監督の成功例もある。しかし、やはりクリエーターにとっての活路はそこにしかないのだろうか。資金力のある外資に頼るしかなく、本当に国の増加支援は見込めないのだろうか。

2010年に国が始めた「クールジャパン」のプロジェクトはアニメを支援する施策という印象が強いが、実は実写映画の海外展開も狙っていた。その一貫として経済産業省主導でAll Nippon Entertainment Worksという会社を設立し、その際には「本邦のストーリー/キャラクター等をグローバル市場向けにリメイクし、映画等を企画・開発することにより、コンテンツ産業の収益を獲得することを狙いとします」と発表されている。

『おくりびと』旋風後、国は絶好のチャンスに手をこまねいていたわけではなく、日本映画をもっと売り出そうとしていたのだ。

しかし、映画プロデューサー、ヒロ・マスダの著書『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー』(光文社新書)によれば、そのために数十億円以上の税金が投入されたものの、経産省の計画の甘さからグローバル展開は失敗し、資金は回収されず損失となり、しかも、日本の映画スタッフには1円も還元されていないという。

つまり巨額の血税が無駄に使われてしまった。衝撃的な告発である。もし、それだけの資金がクリエーターの支援に回されていたら、今頃、世界で高評価を受ける映画がもっと数多く作られていたのではないだろうか。

求められる新たな支援策

「クールジャパン」の失敗についてはもっと検証されるべきだが、映画界のためにはその反省も活かした新たな支援策を求めたい。文化芸術のためだけではなく、パンデミックの収束が見えそうで見えず、おうち消費のニーズが高まる中、優れた映像コンテンツを作ることは日本にとって大きなビジネスチャンスでもあると思うからだ。

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