九州の名物アイス「ブラックモンブラン」の秘密 佐賀県・竹下製菓5代目の首都圏進出の狙い

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1970年代以降、幼少期を九州で過ごした人なら見慣れたパッケージ、竹下の「ブラックモンブラン」(筆者撮影)
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「“ブラックモンブラン”っていうアイス、知ってますか?」。大学のゼミ学生からこう聞かれた。アイスをこよなく愛するこの学生にとって、最もお気に入りの商品だという。

「でも、東京だと(スーパーの)サミットなど買える店がかぎられているんですよ」

製造しているのは竹下製菓。昭和2(1927)年に設立された佐賀県・小城市の老舗企業だ。創業は明治27(1894)年以前にさかのぼる。

あっさりしたバニラアイスの食感が特徴の「ブラックモンブラン」(筆者撮影)

「ブラックモンブラン」は同社の看板商品の棒アイス。バニラアイスの表面にチョコレートをコーティングし、さらにクッキークランチをまぶしたものだ。ハーゲンダッツの商品などと異なり、濃厚でなくあっさりしたバニラアイスの食感が特徴。値段は税込みで119円だ。

誕生したのは1969年。竹下小太郎前会長が欧州へ視察に訪れた際、アルプスの山々を眺めながらふと考えた。「あの真っ白い山にチョコレートをかけて食べたら、さぞおいしいだろう」。その思いが商品化につながった。半世紀あまりの歴史を有するロングセラー商品は今や地元の佐賀を始め、九州地方北部中心に根強い人気を集める「ソウルフード」である。

実際、佐賀で話を聞いてみると、知らない人はほとんどいない。「夏の間は毎日、1つ食べている」「バニラアイスの味がたまらない」……。他の地域で暮らす九州出身者もしかり。1970年代以降に佐賀などで幼少期を過ごした人は異口同音にこう語る。「多くの人がブラックモンブランを食べて育った」。

グーグルトレンドで「ブラックモンブラン」というキーワードを入力すると、都道府県別の検索数では佐賀を筆頭に、福岡、長崎、大分、宮崎と九州各県が上位にならぶ。

ファン待望の首都圏進出

九州では抜群の知名度を誇るが、首都圏では今一つ。冒頭の学生の指摘どおり、サミット、ヤオコー、ライフなどのスーパーや、菓子専門店の「おかしのまちおか」などで買えるが、アイスの重要な販路であるコンビニエンスストアではほとんど取り扱っていないためだ。

竹下製菓5代目の竹下真由社長(筆者撮影)

首都圏で生活する九州出身者中心に聞かれる「ブラックモンブラン」を待ち望む声。こうした中で、竹下製菓は昨年10月に埼玉県・幸手のアイス製造会社スカイフーズの買収に踏み切った(買収金額は非公表)。スカイフーズは大手製菓会社などからのアイスの受託生産に特化。小粒のアイス製造など竹下製菓にはない強みを持つ。

同社によるM&Aをめぐって地元紙などには、「関東に製造拠点」といった同地域への本格進出を示唆する見出しが躍った。だが、竹下真由社長は「真の狙いはほかにある」と苦笑交じりに話す。

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