九州の名物アイス「ブラックモンブラン」の秘密 佐賀県・竹下製菓5代目の首都圏進出の狙い

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最大の理由は災害時の事業継続計画(BCP)の強化である。2019年の夏、「災害が少ない」と言われていた佐賀を記録的な大雨が襲った。被害は甚大で、一つしかなかった同社の小城工場の周囲も浸水。それを機に、リスク分散の必要性を強く意識し始めた。このため、今回の買収は「たんなる“攻め”ではなく、守りつつ攻める一手」(竹下社長)との位置付けだ。

首都圏で目にするのはなかなか難しい「ブラックモンブラン」(筆者撮影)

首都圏に生産拠点を構えるとなれば人件費負担増が気になるが、竹下社長は「物流費などの削減効果のほうが大きい」と説明する。しかも、「埼玉のほうが佐賀よりもむしろ、採用がしやすい面もある。佐賀では大手企業の進出による大量採用で人件費がハネ上がってしまうケースもあった」(同)。

厚生労働省が公表している2月の都道府県別の有効求人倍率は同社長の言葉を裏付ける。埼玉の0.93に対し佐賀は1.10と求人数が求職数を上回る状況だ。

首都圏コンビニ展開が難しい理由

「攻め」の面で突破口となるのは、大手小売り向けのプライベートブランド(PB)。すでに、中四国・九州が地盤の広島のスーパー、イズミのPB商品として一口サイズのブラックモンブランの発売に踏み切っている。

半面、首都圏でのコンビニ向けの展開には慎重な姿勢を示す。ブラックモンブランの「当たりくじ」の仕組みを維持することが難しいからだ。

「当たりくじ」の仕組みが首都圏コンビニ展開のネック(筆者撮影)

当たりくじは棒に「あたり」の表記があれば、もう1本もらえるサービス。駄菓子屋などで買ったアイスを食べると文字が徐々に表れ、「あたり」か「はずれ」かに一喜一憂した経験を持つ消費者も多いだろう。

だが、コンビニの商品のライフサイクルは短く、売れ筋以外はあっという間に売り場から撤去されてしまう。当たったはいいが、店舗での引き換えができなければ購入者の満足度低下につながる可能性がある。

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