「野球が9回制になった」あまりに予想外の理由 かつては「21点先取した方が勝つ」ルールだった

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それと同時に、マンハッタンの若者たちが結成したボランティアの消防団に参加。そのレクリエーションとして、「タウンボール」という野球の原型のようなスポーツを楽しむ、「ニッカボッカー・クラブ」という社交クラブを作ったそうです。

このクラブでは、カートライトさんを中心に、自分たちへ合うようなタウンボールの細かい規則を作り、それをルールブックとして文書化していました。

その内容は例えば……

・塁は一塁、二塁、三塁、本塁の4つとする
・一塁と三塁の外側にボールがいったら、ファウルとする
・打者が3回空振りしたらアウトとする
・走者が野手によりボールに触れられるとアウトとする
・3つアウトとなったら攻守を交替する

などなど、今の野球(ベースボール)ルールの原則的なものばかり。

その中の1つに「先に21点を取ったチームが勝ちとなる」というルールもありました。現在の卓球やバレーボールのような、いわば達成得点制度だったんですね。しかし、このルールに意外な方々が不満を述べたのです。

「21点先取制」に激怒したのはシェフ

時は19世紀半ば頃、ニューヨークで社交クラブに参加し、レクリエーションを楽しんでいるような方々といえば、そこそこのお金持ち、セレブです。

カートライトさんたち「ニッカボッカー・クラブ」は、毎度試合後に打ち上げパーティのようなものを催していました。

ですが、どちらかのチームが21点に達して試合終了となる時間は、日によってマチマチ。すごく早く終わってしまう日もあれば、延々と終わらない日も……。

そこで不満を爆発させたのが、パーティの料理を準備していたシェフたちです。

「このままじゃ、料理をちゃんと準備することが出来ない。ある程度、試合終了時間を予想できるような仕組みにしてほしい!」と、カートライトさんたちに詰め寄ったそうです。

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