登校が辛い子の親に教えたい「休む」という選択 「なぜ行かないの?」とストレートに聞くのはNG

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「行くべき」という気持ちを上回るほどの「登校のつらさ」を子は抱えている(写真:C-geo/PIXTA)
登校に抵抗のある子に対して、親はどのように接すればいいのでしょうか。問題解決の手段として「休む」ことを提案するのが、精神科医として日々多くの子どもに接している井上祐紀氏です。その具体策について、新著『学校では教えてくれない 自分を休ませる方法』を上梓した井上氏が解説します。

子どもに負担を強いている、大人の「3つの期待」

学校に通う子どもたちに大きな負担を強いているのが、多くの大人が抱く「3つの期待」だ。

1つ目が、休まず頑張ること。「皆勤賞」などという制度があるのが、その証拠である。大人が「一日も休まずに努力を続けることに意義がある」という価値観をもっているため、子どもにもその「価値」を身につけてほしいと思うのだ。

2つ目が、文句を言わずに頑張ること。子どもは、大人から与えられた環境や条件を受け入れるのが当然、という考えだ。厳しい状況でも不平や泣きごとをいわず、つらさに耐えて結果を出すのが「いい子」となる。

3つ目が、ひとりで頑張ること。周りに迷惑をかけてはいけない、人に頼ってはいけない……。子どもが、自分の問題を自分ひとりの力で解決できることを「自立」とみなしてしまう。

子どもが3つの期待を背負わされる社会では、しばしば「子どもの休む権利」が軽んじられる。

「みんなが頑張っているときに休むなんて、怠け者のすることだ!」といった空気が蔓延しているため、休むことが「脱落」や「敗北」を意味するもののように感じられてしまう。

実際、私自身にも「学校はなるべく休まないほうがよい」という信念が強かった時期はあった。しかし、「休むことを忌みきらう」この信念は、大人が想像する以上に子どもにとって負担が大きい。

子どもの心の健康を守るために、何ができるかを医師として考えたとき、私の出した結論は、「休むための主導権」を子どもの手に委ねることが必要なのではないか?ということだった。

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