12万円で市議会議員になったある男の選挙戦略 国政に比べて、地方選挙のハードルは低い

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10.朝、駅の通勤者にビラ配り

公職選挙法第164条の6により「午後8時から翌日午前8時まで」は街頭演説を行えないので、「おはようござます」と元気に毎朝ビラ配り。

普段、通勤者の姿を見ることがほとんどない僕のような人間にとっては良い機会にもなる。配っていて気がついたのは、日本人は目の前の人がビラを受け取るとそれに続く人たちの受け取り率も一気に高まるということだ。朝の通勤は皆足早なので、ある種の条件反射のようなものなのか。

11.夕方〜夜、駅周辺での街頭演説

講演会やトークショウなどの経験により人前で喋ることには慣れているつもりだったが、街頭演説は勝手がまったく違った。夕方18時ぐらいからリミットである20時まで主に帰りの通勤者で賑わう駅周辺での街頭演説を行った。

しかし、立ち止まってくれる人がほとんどいない。それが何よりもショックだったし、誰に向かって話している演説なのか途中でわからなくなる。最初の数日間は冷や汗ものだった。

『おいしい地方議員 ローカルから日本を変える!』(イースト・プレス)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。

逆に僕がやらなかったのは、選挙カーによる選挙運動。主な理由は3つある。①うるさいと思ったから。②政策を語るのではなく、自分の名前を連呼することにあまり意味を感じなかったから。③選挙カーの借入れ、運転手の雇用、燃料の購入などにかかる公費が無駄だと思ったから。

2019年の秦野市議会議員選挙での立候補者は28名。そのうち25名が選挙カーを使用し、その費用(公費)は全体で約448万円。

それよりも候補者による公開討論会(ネットで視聴可)はどうだろうか。人数が多ければいくつかのグループに分けて、数日間にわたって行ってもよい。大切なのは、候補者の「外面」を見ることではなく、「中身(考え)」を知ることである。

選挙にかかったお金(自腹分)

下記に記載されていないもの(選挙ポスターやビラの作成費等)は公費で賄われている。

①ライブ用スピーカー一式 59400円
②照明機材及び人件費 30000円
③ビラ(A4サイズ)の新聞折込み代 9549円
④たすき、のぼり代 18184円
⑤雑費 4962円

合計122095円

【2019年秦野市議会議員選挙立候補者の平均支出額】
約875359円(小数点以下四捨五入)

一般的に選挙というとすごくお金がかかるイメージがあるが、12万円である。地方選挙はやり方によって12万円で当選できるのだ。供託金(出場料)だけで何百万円もする国政選挙に対して、一般市民にでも無理なくはじめられるのが地方選挙である。

伊藤 大輔 写真家&秦野市議会議員

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いとう だいすけ / Daisuke Ito

1976年 宮城県仙台市生まれ。明治大学農学部卒業後、一般企業に就職するも退社。スペイン、バルセロナに渡り写真を学ぶ。2004年、ブラジル、リオ・デ・ジャネイロのスラム街を拠点に写真家としての活動を開始。2011年、文化庁新進芸術家海外留学制度研修員。2016年、帰国 。秦野市民に。2019年1月、写真集『ROMÂNTICO(ホマンチコ)』をイースト・プレスより出版。2019年8月、秦野市議会議員に初当選。TBS「クレイジージャーニー」他メディア出演、講演会などジャンルを問わず精力的に活動中。2021年4月、『おいしい地方議員 ローカルから日本を変える!』(イースト・プレス)を刊行。

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