トヨタが自動運転で「世界初」にこだわらない訳 「技術競争」から「普及」のステージへの転換
「ソフトウェアファーストの量産開発おいて、いわゆるビッグデータのプラットフォームについてどう考えているか。先日のトヨタ・日野・いすゞによる(小型トラックでの連携)や、昨年(2020年)公表のトヨタ・NTTの協力等を含めて、(乗用としての)オーナーカーと(公共交通機関や物流向けの)サービスカーの両方の事業を持つ自動車メーカーとして、GAFAM(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフト)との付き合いかたも含め、今後どのようなスケジュール感で進めるのか。国とのデジタル化戦略を追い風として、早期に対応するのか」
これについてトヨタの自動運転事業を取りまとめる関係者は、「ビックデータの取り扱いは、個人情報保護法のもとで利活用することが基本だ。今回はオーナーカーで始まっているが、この先は商用として利便性との期待値はある。(事業としての)最後の出口は、いろいろなお客様になるが、どういったソフトウェア連携となるかは、まだわからない。まずはトヨタとしては、お客様に乗用から商用まで使われ方を学んでいきたい」と言うにとどめた。
また、ウーブンプラネットのCEO、ジェームス・カフナー氏は「(データプラットフォーム構築という観点で)自動車業界にとって、ウーブンプラネットに大きなチャンスがある。開発サイクルの高効率化のみならず、商用車分野とも連携して、最適な商品を生み出していきたい。そのために、ソフトウエアやAI学習を活用する開発は必須となる」と答えた。
要するに、自動運転の普及を考えるうえで、乗用車、商用車、公共交通などを個別の技術として見るのではなく、社会全体のデジタル化の中でどのように体系づけているかが重要であり、「乗用車の自動運転レベルを引き上げる」という単なる技術競争の観点で話を進めるべきではない、ということだ。
Woven Cityを持つトヨタだからこそ
こうした考え方は、Woven City(ウーブンシティ)という巨額投資によって実社会を構築しようとするトヨタならではの、社会を俯瞰する発想だ。むろん、ウーブンシティを成功させ、トヨタがいう「原単位」として全国に、また世界各地に「横展開」させるためには、数多くのハードルがあることは明らかだ。
自動運転の自動車メーカー間における技術競争はいま、過渡期にある。重要なことは「いつ」「どこで」「誰に」「どのようにして」自動運転が必要なのかという視点だ。いま、社会全体で自動運転のあり方について改めて考える時期だと思う。
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