トヨタが自動運転で「世界初」にこだわらない訳 「技術競争」から「普及」のステージへの転換

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AUVSIは、陸上交通以外にも偵察機、潜水艇、ドローンを含めた陸海空での自動操縦機器について議論する会議体で、同団体の説明によると、発足のきっかけは米国防総省による発案だという。

SAE案とNHTSA案の2つが数年間にわたり併存するも、各方面から「一本化が望ましい」との声があがり、またオバマ政権からトランプ政権への移行前に取りまとめたいという意識がSAEとNHTSA双方が持っていたこともあり、2016年秋にSAE案で一本化した。

しかし、2017年に入りトランプ政権になると「前政権に比べて、自動運転の本格普及に対する連邦政府の動きが大きく鈍った」という声が複数の自動車メーカーの自動運転技術開発者から聞こえるようになり、流れが変化。

一方で、国際的な協議は国連欧州経済委員会における作業部会として、技術面ではWP29(自動車基準調和世界フォーラム)、また道路交通法規についてのWP1(道路交通安全作業部会)で議論が進み、日本はWP29におけるワーキンググループで議長を務めるなど、自動運転に関する国際協調の中で主導的な立場をとってきた。

その結果として、世界に先駆けて衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)の新車標準装備を2021年11月以降に発売する新車(軽トラックなど一部は今後、段階的に採用)に義務づけることが決定した。

そして、ホンダは2020年11月に国土交通省から自動運転レベル3での型式認定を受け、2021年3月4日にレジェンドにHonda SENSING Eliteとして搭載して量産化を発表した。

ホンダ「レジェンド」Honda SENSING Elite搭載モデル(写真:本田技研工業)

日本リードの中でトヨタが果たす役割

トヨタとしては、こうした世界各国、そして日本国内での自動運転に関する動向を把握し、TRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)やウーブンプラネット(旧TRI-AD)を軸足として、量産化に向けた研究開発を進めてきた。また、関係各省庁が連携する国家プロジェクト「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)」でも、トヨタが中心的な役割を果たしている。

こうしてトヨタは実走行とシミュレーションを繰り返す中で、自動運転の出口戦略ついて具体的なイメージを持つようになったのだと考えられる。今後、自動運転等の量産化が本格化することを踏まえて、今回のオンライン会見で筆者はトヨタ側に次の質問をした。

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