マーケターが社長の王道コースになる日 日本にCMOを増やすには?

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具体的にはこうだ。組織化の前に、社内のキーマンを集めての会議体でいいので、CMO機能のうち社内に必要な機能をいくつかに定義する。そしてそれぞれを誰が担うかを明確にして、計画と実施状況を確認し合い、必要な社内連携をさらに浮き彫りにしていく。

たとえば購買情報のデータ吸い上げはマーケティング部から、顧客の声の収集は営業部門から、開発者の技術把握や新規アイデアは研究部門から、それぞれの連携事務方法を決めるのは総務部門といった具合だ。これらのチーム編成をし、3ヵ月後に調査結果と新規戦略の策定をCEOにプレゼンさせることをミッションとするなど。場合によっては、経営企画部などが、事務局的にこうした会議体を運営して必要な機能と知見を明確化して、経営に上げていくことも重要だ。

特にマーケティングというと「経験と勘」で成り立っていた「広告・販促」だったので、今の経営トップの世代には、デジタルマーケティングやデータドリブンマーケティングというものがピンと来ない。まずCMO機能会議体の最初のミッションは、経営トップに、マーケティングの再定義と、「経験と勘」のマーケティングから「データドリブン」なマーケティングへのシフトの意味、マーケティングにもテクノロジーが必要なことなどを、しっかり理解・認識させることである。

社内のキーマンが集まって、CEOにCMOの意味と機能を認識させること。これが日本企業に最も必要な第一歩である。社長がこれを認識すれば、あとはCMO機能の組織化、CMOを指名するか、自分でやるかをはっきり決めることだろう。私は巨大企業でないかぎりは、CEOがCMOを兼ねるのも手だと思う。逆説的ではあるが、自社内でCMOを育てるためには、CMOからCEOではなく、「CEOからCMOの道」を作ってしまうのである。

CMO機能を社長が指名するか、答申機関を設けて自ら実施することができれば、大きな前進だ。社内でも「マーケター志向」が芽吹くことになるだろう。科学としてのマーケティングを経営者が信じることで、社内に本格的なマーケターを目指す者が増えるはずだ。

横山 隆治 デジタルインテリジェンス代表

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よこやま りゅうじ

デジタルインテリジェンス代表取締役 1996年にDAC設立に参画。以来、ネット広告の普及・体系化・理論化に貢献。著書に『トリプルメディアマーケティング』(インプレスジャパン)、『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)など。

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