マーケターが社長の王道コースになる日

日本にCMOを増やすには?

CMOからCEOへの道はあるか?

しかしマーケティングは少し異なる。まだまだマーケティングのプロが社長になった、という話は日本企業では少ないが、米国では王道になりつつあるように思う。他の専門職と違う、”攻め”の戦略を策定し、関係部署を鼓舞するプロでもあることが評価されているのだろう。実際に米国では10年近く前からマーケティングのプロ、つまりCMOになることが社長になる近道ではないかと指摘されているのをご存知だろうか?

2007年のレポートにシカゴのコンサルティング会社Spencer Stuartの「CMOからCEOへの道(From CMO to CEO:the route to the top)」というものがある。5年以上前のものだがいま見ても示唆的なので少し紹介したい。CMOがCEOになるためには以下のような要素が必要になるという。 

(CMOがCEOになるために準備すべき10か条)
■新興ビジネスの全体マネジメントの役割を務めること
■あらゆる機会において自分のスキルセットを広げること
■少なくとも1つのnon-marketingのスキルを身につけること
■できるだけ多くのmission-criticalなマーケティング以外のプロジェクトに関わること
■営業数字にこだわるリーダーであるという証拠を示すこと
■他部門と一緒に働く経験を増やすこと
■自社のブランド価値を把握するためにCFOと一緒に働くこと
■コミュニケーションスキルを磨くこと
■厳しい意思決定をできるようになること
■すでにCEOであったり全体マネジメントのポジションにいるメンターを持つこと

 

つまりCMOがCEOになるために大切なのは自分の得意なマーケティングの専門領域から一歩足を外へ踏みだすことである。それを可能にする素養がマーケターにはあるということであろう。しかし、その一方で事実上のハードルとして、米国でも「同じ会社の内部昇進でCEOになることは難しい」という指摘があるのは面白い。CEOになりたければ転職して新しい会社を見つけよ、とは少々切ない。逆にこのあたりは日本のようなジェネラリスト育成よりも専門領域でのプロ意識を求められる米国だからかもしれない。

日本流CMOは個人戦ではなく、集団戦で行け!

このように米国でも自社内のCMOをCEOに育てるのはかなり難易度が高いことがわかる。ましてやCMOの概念すら危うい日本では言わずもがな、である。しかしないものねだりをしても始まらない。いっそ、CMOの機能を分析、分解して、日本流に集団指導体制で臨むのも手ではないかと思う。

次ページCEOの意識しだいで各部門がCMOに!
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