就活生に教えたい会社選びで「最も重要な点」 入ってから後悔することないように今考えよう

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──志望する会社と自分の価値観が合うかどうかを見る方法は?

その会社の歴史研究をお勧めします。社史にはその会社を知るヒントがたくさん隠れている。過去の業績推移とリンクさせながら見ていくと、何かの危機や転機の際、必ず重要な意思決定をしている。そこに会社の遺伝子ともいえる価値観が反映されている。その時々の意思決定が自分の心に響く、共感できるような会社なら、つらいときも乗り越えていけるでしょう。

会社を訪問した際は、教育制度と人事評価制度を具体的に聞くといい。採用した人材をその会社はどんな仕組みで育成しようとしているか。入社後自分が成長する姿をイメージでき、ワクワクするか。人事評価の項目には、会社が求める人材像が反映されています。例えば10項目中どの項目のウェートが高いか。入社3年目まではこの項目、10年目20年目にはこの項目の比重が高まるなど。

お勧めはスーパーのレジのアルバイト

──そこまで教えてくれますか?

私はオープンにしていました。会社としても3年で離職は困るのでね。担当者でなく、先輩に聞くのでもいい。先輩たちの経験から、こんなことを会社は評価してくれたとか、どんな人が成功していると思うかとか。「自分的にはすごい達成感だったけど、評価は大したことなかったんだよね」みたいな正直ベースの話はすごく参考になりますよね。会社が重視する評価項目のどれかを、過去の経験から学んだ自分の強みとして説明できれば、ポイントは高まります。

──少しそれますが、スーパーのレジ打ちアルバイトがお勧め、と。

単なる精算業務と定義したら、それでおしまい。冒頭の目的論で、お客の満足度を上げるための仕事と定義すれば、全然違ってくる。レジ打ちにはデキる人の要素が詰まっています。何から先にレジを通し、次のカゴにどう置くとお客が扱いやすいか、創意工夫や瞬時の判断力が要る。

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しかも夕方などは、お客の列から無言の視線を浴びつつ処理していくので、ストレス耐性も高まる。カゴの中身からメニューを想像すれば、会話のきっかけにもできる。年配の方など普段接点のない世代とのコミュニケーション能力は、会社に入ってからも生きる。そうやって意味づけして取り組むと、仕事をするうえで必要な能力が身に付きます。

お客の関心事に関心を持つことでつながりが生まれ、居場所ができ、他者の役に立つ貢献感も持てる。社会や共同体から離れて生きる個人はありえない。自分は社会の一部でありその社会と結び付いている感覚です。この共同体感覚はアドラーの目指す理想であり、人生に意味を与えてくれるものでもあります。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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