題名の「しゅうかつ」は就職活動の「就活」、社会が求める人材を目指す「習活」、よりよく生きるための「充活」(充は漢音でしゅうと読む)の3つを指す。とりわけ重要なのが、社会人への第一歩を踏み出すとき、自分はどうありたいか、How to beの軸をしっかり持つことと著者は説く。
今年も就活戦線の幕が開けた。“勇気づけの心理学”ともいわれるアドラーの理念とともに、『もし、アドラーが「しゅうかつ」をしたら』を書いた中小企業診断士でキャリアコンサルタントの長田邦博氏に就活生へのアドバイスを聞いた。
「原因論」ではなく「目的論」に視点を
──人生の転機において、アドラー心理学が支えになる点とは?
「原因論」ではなく「目的論」に視点を置く点です。従来の心理学はどうしても、なぜ?を突き詰めていく原因論に傾きがちでした。でも視点を一つ変えるだけで、見えてくる世界は全然違ってくる。
例えば、「あなたは“なぜ”立ち止まっているのか」という問いかけ。原因論では、何のトラウマが理由でなぜそれがトラウマなのか、内へ内へと深掘りしていく。これだと問題の解説はできても解決には至らない。それに対し、目的論の問いかけは「あなたは“何のために”立ち止まっているのか」。より未来志向であり、いろんなアイデアが出てくる。人間が生きているのは未来の自分のため。人生を切り開こうというとき、こちらの視点がより助けになります。
──「就活」ではまず、「自分軸」をつくることを勧めています。
就活を一時のライフイベントではなく、人生を見据えた中長期的スパンで位置づけてほしい。ここを始点に次のライフステージの習活、充活へつながるからです。
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