「パーパス」なきESGやSDGsでは、未来は拓けない

日本発の新たな経営モデル「志本主義」のすすめ

なお同社は、インターブランドが試算するブランド価値が、昨年から18%上昇。ランキングも96位から86位と10位もランクアップしている。

大豆由来素材で社会課題解決をめざす不二製油

さて、今年の消費者志向経営賞では、このほかに6社が消費者庁長官表彰を獲得している。日清食品、味の素、城北信用金庫、不二製油、アスクル、オイシックス・ラ・大地の6社である。6社中4社が食品企業で、その中でもあまり一般に知られていないのが不二製油である。

同社は業務用チョコレートや植物性油脂、大豆加工素材などを提供するB to B企業だ。しかし、大手コンビニと連動して商品開発・情報発信をするだけでなく、消費者へ直接販売するアンテナショップも運営している。第1要件の顧客体験価値の提供である。

また、同社が主原料としているパーム油、カカオ、大豆は、世界中で「3大困りもの」扱いされている。森林破壊、気候変動、児童労働などの温床と見なされているからだ。そこで同社は、持続可能な調達へと切り替えることで、サステイナビリティー課題の解決に真正面から取り組んでいる。第2要件の社会価値の提供である。

そして、こちらも圧巻は、1950年の創業以来追求してきた「Plant-Based Food(PBF=植物性由来食品)を通じた社会課題の解決」という同社のパーパス(志)だ。その代表例である大豆フード(大豆由来食材)は、肉や魚に近い食感に仕上げた製品で、鶏肉風や牛肉風、ツナ風など、食感の異なる大豆キュイジーヌを展開している。

世界的な人口増加による食糧不足、サステイナビリティーの危機、健康志向の拡大、食の多様化といった課題に、ソリューションを提供している。そのほかにもチーズ風豆乳素材(豆乳発酵食品)を開発し、ハラル対応やベジタリアン・健康志向の増大に応える取り組みを積極的に展開している。まさに第3の成功要件である。

同社の清水洋史取締役相談役は、表彰式で、「地球と人の健康はつながっている。困りごとの解決を十分に果たせるよう、取り組んでいきたい」と語っている。ここでも、3つの成功要件が密接に絡み合っていることが読み取れる。

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