シノバック製ワクチンの有効性に疑問を呈する声も上がっている。アルゼンチンとスペインの電子紙「ラ・ポリティカ・オンライン」などによると、チリ大学の調査によると、シノバックのワクチンは1回目の接種での有効性がわずか3%であることが判明。2回目の接種後、2週間で有効性は54%まで上昇するが、最初の13日間の有効性は27%程度という。
また、ブラジルのブタンタン研究所が同様の調査したところ、シノバックの有効性は50.4%という結果が出ているという。世界保健機関(WHO)はワクチンを承認する際の有効性は最低50%としており、上記の調査結果のみで判断すれば、「すれすれの基準」ということになる。
もっとも、シノバック製のワクチンの有効性と感染者数拡大の関連は明確になっていない。イギリスのガーディアン紙によると、ワクチンの効果が発揮されるのは当初予想されたより時間がかかる見通しで、現在では「コロナ前の状態に近い」とされるイスラエルもワクチン接種が始まった当初は、今のチリと同じように新規感染者数が増え、1週間のロックダウンを経験している。
なぜ集団免疫の獲得待てなかったのか
サンティアゴ在住のジャーナリスト、エミリー・ラッセルス氏がイギリスメディア「i」に寄稿した記事によると、厳しいロックダウン状態となっているチリで現在オンラインの外出許可証が発行できるのは週2回まで。3月1日に1年ぶりに再開した学校も、再び休校となっているほか、夜の外出は9時までに制限されている。
チリ政府は6月30日までに人口の80%に相当する1520万人にワクチン接種を済ませたいとしている。そうすれば集団免疫を獲得してコロナウイルスの進展を抑えることができるようになるとしており、ラッセルス氏は「6月末に集団免疫が獲得できるのならなぜ急いで経済再開を急いだのか」と疑問を呈している。
今後チリはイスラエルのような劇的な感染者数の減少へ向かうのか、それともこのままパンデミックが続くのか。国民のワクチン接種を懸命に進めている各国が固唾をのんで見守っている。
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