南場さん、なぜDNA解析を始めるのですか? DeNAの南場智子取締役を直撃!
――遺伝子検査だけでは、全国民が受けたら需要がなくなってしまうのでは。事業全体でどのようなビジネスモデルを考えているのか。
そうですね。遺伝子が変わるわけではないので。ただ、新しい研究成果が出るにつれてサービスはどんどんアップデートされる。最初の結果通知は第一歩にすぎなくて、結果を受けて健康をサポートしていくのが本番。「健康への意識は高まりましたか」「健康によいことをし始めましたか」――そういうサポートまで含めると、事業はどんどん拡大していく。遺伝子情報以外にもいろいろある健康に関する情報を、個人が所有し、解釈し、どういう行動を取るべきか導き出せるようにしたい。
ネット事業の蓄積が生かせる
――ヘルスケアに目を付けて参入する企業は多いが差別化戦略は。
ネット企業なので、利用者へのメッセージ送信や新しい情報が出てきた際のアップデートなど、ネットを介して行う領域ではわが社の蓄積が生きる。ゲームやコミュニティサービスをやってきたDeNAならではの、ぬくもりのあるサービスを提供し、健康のための取り組みを楽しんで続けてもらえるようにしたい。
――東大と組むのも強みだが、どうやって遺伝子解析の第一人者を口説き落としたのか。
口説き落とすというほどではない。昨年4月くらいから「ゲノムをやろう」という話を社内でしていたところ、プライベートで知り合った医療関係者の方々に「それならば東大の宮野悟先生と会ってみたら」と言われた。そこですぐアポを取り、昨年7月に会った。当時は「とりあえずご指導いただこう」と思って伺っただけで、「東大と組んでやろう」とはまったく考えていなかった。
ところが、最初から話がピタッと合ってしまった。宮野先生は「研究成果を世の中に届けたい」という強い思いをお持ちだった。運がよかったよね。通常、大学などと組むとスピードが遅くなるというイメージがあるが、私たちの場合は出会いのタイミングが非常によく、宮野先生のリーダーシップ、医科研の取り組みのおかげもあって、サービスの開発が加速された。
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