「破壊的な変革」を実現させるDX成功のコツ 「DXの70%が失敗している」背景に何があるのか
次に、「70-20-10」のルールの10%に当たる、新規事業/機能への割り当てについてフォーカスしたいと思います。これらの取り組みについては、当然のことながら、大きなリスクを伴います。私たちは過去に、世の中を大きく動かすような取り組みが、その複雑性ゆえ、頓挫してしまったケースを多く見てきました。ここでも「戦略の充足性」と同じような考え方を適用できます。
それは、1つの壮大な破壊的変化のアイデアを「反復実行」を伴ういくつもの小さなプロジェクトに分割し、ポートフォリオを組む考え方です。この「反復実行」が2つ目のポイントです。これを、ハイリスク・ハイリターンなプロジェクトとローリスク・ローリターンなプロジェクトで構成することにより、リスクの抑制および適正な効果の取得を実現します。具体的な数字目標としては「10-5-4-1」戦略が有効と考えます。
すなわち、10件のプロジェクトを実施した場合、5件は途中での中断を覚悟、4件はパフォーマンスが2~4倍になるような結果を達成、そして残りの1件が10倍の結果を達成するような割合を目指すことが1つの最適解と考えます。
これらの機能/プロジェクトを、ウォーターフォール型のビッグバンによって進めるのではなく、反復実行(アジャイル)型で進めることにより、大きな損害を出すことなく、ビジネスやオペレーションの拡張が可能です。
「チェンジマネジメント」で中間管理職を活用
3つ目のポイントは「チェンジマネジメント」です。数々の取り組み/プロジェクトにおいて、総論賛成・各論反対といった動きは、ビジネスモデルの創出か、オペレーションの向上か、どの業務領域かなどを問わず、どの現場でも発生しています。
これらに対処するためには、取り組みの内容/難易度/利害関係や、各々の企業の文化などを鑑み、組織構造の変革を、プロジェクトの推進と並行して、あるいは前もって取り組む必要があります。
とくに、「70-20-10」の10%の新規事業を推進していくためには、既存の組織から分離させた「エッジ組織」を組成し、自由に変革を進められるようにすることが大切です。
また、通常組織において、中間管理職をいかにうまく活用するかが、チェンジマネジメントの鍵となります。多くのケースでは、経営幹部は積極的に変革に取り組もうとし、若い世代もそれに追随しようとします。
一方で、中間管理職層が変化を遅らせたりブロックしたりといった「抵抗勢力」になるケースも比較的多いのではないでしょうか?
これらの「抵抗勢力」は、プロジェクト推進側から見ると、単なる阻害要因として見られがちですが、「組織内の免疫システム」として、重要な役割を果たしているという見方をすべきです。すなわち、人体における免疫系と同じように、不必要な脱線や変化から企業を保護しているのです。
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