「住宅ローン返済」ボーナス頼りの人の落とし穴 無理なくローンを完済するための4つのルール

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ボーナス払いのメリットはその分毎月の返済額を減らせることにありますが、減らした分はボーナス月に返済するのですから厳密にはメリットとは言えません。

これに対してデメリットは、通常月に口座残高がマイナスになってしまう可能性がある人は、もしボーナスが出なかったときに返済が滞ってしまう可能性が高いことです。

ボーナス払い頼りは「家計に問題あり」

わたしは住宅ローンやマイホーム購入の相談に乗る機会が多いのですが、「年収に占めるボーナスの割合が高いのでボーナス払いにしてもいいですか?」「公務員でほぼ確実にボーナスが出るのでボーナス払いにしていいですか?」と聞かれることがあります。どちらも答えは「NO」です。

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相談者にとっては、ボーナス払いにしたことによって「減った毎月の返済額」が無理のない毎月の返済額なのです。また、毎月の住宅ローン返済額によって口座残高が底をついてしまうのであればそもそも家計に問題があるのです。

またボーナス払いのボーナス月以外の返済額は少額となり元本が減らないため、その期間と元本に利息がかかることから、ボーナス払いなしの場合よりもわずかに利息額が多くなってしまうのです。

ボーナス払いは、クレジットカードで大きな買い物をしたときの支払いを「ボーナス一括払い」にする使い方がお勧めです。分割払いにすると利息がかかりますが、ボーナス一括払いには利息がかからないカードもあるからです。それにポイントも付与されますので「お得」です。

35年=420回続けなければならない長期間の固定的な住宅ローンの支払いを変動要素のあるボーナスありきで計画するのはお勧めしません。臨時の大きな買い物の支払いにボーナスを充てるほうが「ボーナス」という収入の性質にもマッチしているのです。

千日 太郎 公認会計士

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せんにち たろう / せんにち たろう

1972年生まれ。神戸商科大学(現在の兵庫県立大学)卒業後、大阪の監査法人へ入社。資格も名前を伏せて開始した「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな? に答える」が評判を呼び、住宅ローン、不動産分野で人気の高いブロガーとして現在に至る。

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