方向感のない日経平均の先行きに潜む「リスク」 いざというときの日本企業の備えはあるのか

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一方、アメリカ株式以外の市場を幅広く見回すと、「何となくの膠着感」が漂っている。アメリカの債券市場では、一時は10年国債利回りの上昇が騒がれたが、今は1.65%を中心に上下動するにとどまっている。

ドル円相場も3月末に1ドル=111円に肉薄したものの、そこから小反落し、109~110円を中心とした上下動となっている。

国際商品市場でも、少し前から底ばい感が強くなっていた金価格は、1トロイオンス(約31.1グラム)=1700ドル前後で推移している。

ひところは景気回復期待により上昇した原油価格は、代表的な指標であるWTI先物価格が3月上旬に1バレル=65ドルを超えたあとは、60ドル前後での往来となっている。ほかの主要な工業用原材料、例えば銅価格も、このところは動意に乏しい。

内需系企業に不安が大きい日本

こうした諸市場で市況の動きが小さくなっていることは、多くの投資家が上にも下にも市況の先行きに強い見解を持つことができず、不透明感を抱えていることが表れていると解釈している。

日本株も、述べたようなアメリカの株価の好調さに比べると、上値の重さばかりが目立つ。先週も日経平均が一時3万円を回復する局面はあったが、「3万円超えの時間」は極めて短命だった。

終値ベースで日経平均の最近の高値(終値ベース)を見ると、2月16日の3万0467円、次いで3月18日の3万0216円、4月5日の3万0089円と、着実な切り下がりとなっている。

下値(終値ベース)も、3月8日の2万8743円、3月24日の2万8405円と、2万8000円台で踏みとどまりながらも、やはり切り下がりだ(ただし、ザラ場ベースの安値は3月5日の2万8308円で、その後は下回らず)。

投資家の声を聞いても、アメリカ株の回復とその背景とされる世界的な景気回復への期待はあるものの、日本国内では新型コロナの流行第4波も懸念されて内需系企業に不安が強く、企業決算の発表本格化を前に収益への懸念も強いとされている。

そのため、日本株については、ストロングオピニオン(市場動向に対する確固たる意見・見解)を持つ投資家が少なく、株価が上振れすれば売りが入り、下振れすれば押し目買いが入る、という傾向が強まっているように感じられる。

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