確実に変わるアパレル「リアル店舗」の役割 アダストリア社長が語る実店舗の存在意義
――コロナ禍で消費者の購買行動が大きく変わりました。
当社ではコロナ禍でウェブの売り上げが大きく伸びた。でも、その多くは実はリアル店舗のスタッフが(着こなし例の投稿などを通して)販売している。僕はこれを見て、今後はリアル店舗の存在意義そのものが変わると感じた。
ウェブの売り上げがどんなに増えてもリアル店舗がなくなることはない。ただ、ネットでも欲しい商品が買えるなら、わざわざ店舗に行かなくていいので、店舗では「来て良かった」「面白かった」と思ってもらう価値を提供しないといけない。
これからのリアル店舗は「そのブランドが何なのか」を発信する存在に変わる。
「必要な場所」にしかいらなくなる
――実店舗の役割がこの局面で明確になる、と。
明確になったと思いますよ。今後は本当に必要な場所に必要な店舗しかいらなくなる。
これまでは(商業施設とアパレル企業の関係性から)お願いされたりお願いしたりして、店数を増やしてきた。気がついたら(当社も)毎年100店近く閉めているのに出店数が上回って、店数は増え続ける流れになっていた。
それにみんな(おかしいと)気が付き始めた。店を出せば出すほど在庫も残る。僕は今、新規の商業施設ができても出店しないことのほうが多い。必要な商業施設とは一体何なのかが、これから問われていく。
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